皮膚科開業の仕方

皮膚科が専門外の医師でも診られる皮膚疾患の見極め方|開業前に学びたいプライマリケア

更新日:
皮膚科

若手医師・開業を目指す先生へ

皮膚科が専門外の医師でも診られる皮膚疾患の見極め方

「内科や消化器内科はある程度診られる。でも、皮膚疾患は正直少し苦手」

これから開業を考えている若手医師の先生の中には、このように感じている方も多いのではないでしょうか。開業後は、専門科に関係なく、湿疹、蕁麻疹、白癬、帯状疱疹、蜂窩織炎、薬疹、小児の発疹など、さまざまな皮膚症状の相談を受けます。この記事では、皮膚科が専門外の医師でも外来で押さえておきたい皮膚疾患の見極め方を、プライマリケアの視点で整理します。

  • 皮膚科は専門外だが、開業後に皮膚疾患も診られるようになりたい
  • 湿疹、蕁麻疹、白癬、帯状疱疹、蜂窩織炎の見分け方に不安がある
  • 皮膚疾患で「これは紹介すべき」と判断するポイントを知りたい
  • 小児の発疹や薬疹を外来で見逃さない考え方を学びたい
  • 内科だけでなく、小児科、皮膚科も含めた幅広い外来診療を学びたい

開業医に必要なのは、すべての皮膚疾患を皮膚科専門医のように診断し、治療することではありません。

大切なのは、よくある皮膚疾患を初期対応できること。そして、見逃してはいけない疾患を早期に拾い上げ、必要なタイミングで皮膚科や救急へつなぐことです。

この記事では、若手医師の先生に向けて、皮膚疾患を外来で診る時の基本姿勢、よくある疾患の見極め方、紹介すべき危険サイン、患者さんへの説明の仕方を解説します。

目次

皆さん、こんにちは。あまが台ファミリークリニック院長の細田です。

私は医師歴25年以上の家庭医療専門医として、地域医療の最前線で診療を続けてきました。あまが台ファミリークリニックでは、内科、糖尿病内科、小児科、皮膚科を標榜し、生活習慣病から小児疾患、皮膚疾患まで幅広い外来診療を行っています。

皮膚疾患は、患者さんにとって「見える症状」であるため、不安が強くなりやすい領域です。一方で、医師側から見ると、湿疹なのか、感染症なのか、薬疹なのか、緊急性があるのかを短時間で判断しなければならない難しさがあります。

若手医師の先生にお伝えしたいのは、皮膚疾患の診療では「皮膚科専門医と同じ診断名をすべて当てる力」よりも、「危険な疾患を見逃さず、よくある疾患に適切な初期対応をする力」が重要だということです。

実際のクリニック運営で学んできたことをお伝えします

私は2019年9月に、千葉県長生郡長生村であまが台ファミリークリニックを開業しました。
開業からもうすぐ7年になり、現在は年間約2.5万人の患者さんを診察しています。

クリニック運営は、院長一人の力だけで成り立つものではありません。
現在は、非常勤医師5名、看護師4名、管理栄養士5名、医療事務2名、クリーンスタッフ1名、採用秘書担当1名、外部コンサルタントの教育係2名とともに、日々の診療と組織づくりに取り組んでいます。

だからこそ、この記事でお伝えする内容は、理論だけの話ではありません。
実際に採用し、教育し、スタッフと向き合い、悩みながらクリニックを運営してきた中で大切だと感じていることです。

開業前研修の実績

現在、当院で研修を受けた3名の先生が、それぞれご自身のクリニックを開業し、地域医療の現場で活躍されています。

また、現在も2名の医師が当院で研修を行い、外来診療、クリニック経営、集患、スタッフ採用、組織づくりについて、実際の現場を通して学んでいます。

開業前研修では、単に知識をお伝えするだけではありません。将来、自分のクリニックを開業した時に、患者さんに選ばれ、スタッフと信頼関係を築き、地域で長く続けられる医療機関をつくるための考え方と実践を共有しています。

皮膚疾患の診療も同じです。教科書で疾患名を覚えるだけでは、実際の外来では迷います。患者さんの年齢、症状の経過、皮疹の分布、痛みや発熱の有無、薬剤歴、基礎疾患、そして紹介のタイミングまで含めて判断する必要があります。

結論:皮膚疾患は「診断名を当てる」より「危険度を分ける」ことが大切です

皮膚科が専門外の医師が、外来で皮膚疾患を診る時に最初に意識すべきことは、診断名を一発で当てることではありません。

まず行うべきことは、危険度を分けることです。

  • 今すぐ救急対応や紹介が必要な皮膚疾患か
  • 数日以内に皮膚科へ紹介した方がよい疾患か
  • プライマリケアで初期対応しながら経過を見られる疾患か
  • 再診で悪化していないか確認すべき疾患か

皮膚軟部組織感染症は、軽症の表在感染から、蜂窩織炎、膿瘍、壊死性筋膜炎のような重症感染症まで幅があります。
IDSAの皮膚軟部組織感染症ガイドラインでも、軽症から生命を脅かす感染症までを含めて診断と治療の重要性が示されています。※1

つまり、若手医師に必要なのは「湿疹っぽい」「感染っぽい」で終わらせず、全身状態、痛みの強さ、進行速度、発熱、免疫抑制、糖尿病、薬剤歴を含めて、危険度を整理する力です。

皮膚疾患を診る時の基本は、経過、分布、形、全身症状です

皮膚疾患が苦手な医師ほど、皮疹そのものだけを見てしまいがちです。

もちろん皮疹の形は大切ですが、実際の外来では、それだけでは判断できません。

1. いつから出たのか

急に出た皮疹なのか、数週間から数か月続いている皮疹なのかで、鑑別は大きく変わります。

たとえば、数時間から数日で出たり消えたりする膨疹なら蕁麻疹を考えます。一方、数週間から数か月続くかゆみのある湿疹なら、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、皮脂欠乏性湿疹、貨幣状湿疹などを考えます。

2. どこに出ているのか

皮疹の分布は非常に重要です。

  • 片側性でデルマトームに沿う水疱なら帯状疱疹を疑う
  • 足趾間や足底なら白癬を疑う
  • 顔面、口唇、眼周囲の腫脹ならアレルギーや血管性浮腫を考える
  • 下腿の片側性発赤、熱感、腫脹なら蜂窩織炎を考える
  • 全身性の紅斑と粘膜症状があれば重症薬疹を考える

3. どんな形をしているのか

紅斑、丘疹、水疱、膿疱、鱗屑、びらん、潰瘍、紫斑、膨疹など、皮疹の形を言語化することが大切です。

皮膚科専門医のように詳細な形態診断ができなくても、「赤い」「盛り上がっている」「水疱がある」「膿がある」「鱗屑がある」「押しても消えない紫斑がある」と整理するだけで、鑑別はかなり絞れます。

4. 全身症状があるか

発熱、倦怠感、強い疼痛、血圧低下、意識障害、粘膜症状、呼吸苦があれば、単なる皮膚疾患として扱ってはいけません。

皮膚症状は、全身疾患の一部として出ていることがあります。

まず外来で押さえたい皮膚疾患1:湿疹と接触皮膚炎

プライマリケア外来で最も多い皮膚疾患の一つが、湿疹です。

湿疹は、かゆみ、紅斑、丘疹、鱗屑、掻破痕、慢性化すると苔癬化などを伴います。

若手医師が迷いやすいのは、湿疹を見た時に「とりあえず弱いステロイドを少しだけ」と処方してしまい、十分に炎症が抑えられず、患者さんが何度も受診するパターンです。

外用薬は強さ、部位、期間をセットで考える

よく使うステロイド外用薬の強さと、使う部位の考え方

外用ステロイドは、薬の名前だけで選ぶのではなく、強さ、塗る部位、炎症の程度、使用期間をセットで考えます。
同じ「湿疹」でも、顔に使うのか、体幹に使うのか、手足の厚い皮膚に使うのかで選ぶ薬は変わります。

薬剤名の例 一般的な強さ 使う部位の目安 注意点
デルモベート軟膏
クロベタゾールプロピオン酸エステル
Strongest
最も強い
手掌、足底、厚くなった慢性湿疹、強い苔癬化など、皮膚が厚く炎症が強い部位で短期間使用を考える 顔、頸部、陰部、乳幼児には原則として慎重。長期連用は避け、改善後は弱いランクや保湿へ切り替える
ジフルプレドナート軟膏
代表例:マイザー軟膏など
Very strong
とても強い
体幹、四肢の炎症が強い湿疹、かゆみが強い皮膚炎などで短期間使用を考える 顔や皮膚の薄い部位には基本的に使いにくい。強い炎症を短期間で抑える目的で使う
リンデロンV軟膏
ベタメタゾン吉草酸エステル
Strong
強い
体幹、四肢の湿疹、虫刺され、接触皮膚炎など、日常外来で比較的よく使う強さ 顔、眼周囲、陰部には原則慎重。漫然と長く塗り続けないよう、再診で改善を確認する
ロコイド軟膏
ヒドロコルチゾン酪酸エステル
Medium
普通
顔、頸部、小児の軽い湿疹など、皮膚が薄い部位や比較的軽い炎症で使われることが多い 弱めだから安全と決めつけず、眼周囲や長期連用では皮膚萎縮などに注意する
プレドニン軟膏・プレドニン眼軟膏
プレドニゾロン
Weak
弱い
皮膚が薄い部位、軽い炎症、眼周囲などで検討されることがある 眼周囲は自己判断で長期使用しない。眼圧上昇、感染症、ヘルペスなどには注意し、必要に応じて眼科・皮膚科へ相談する

ざっくりした考え方としては、顔・頸部・陰部など皮膚が薄い部位は弱め、体幹・四肢は炎症の強さに応じて中等度から強め、手掌・足底など皮膚が厚い部位は必要に応じて強めを考えます。

ただし、これはあくまで一般的な考え方です。年齢、部位、皮疹の状態、感染症の有無、妊娠、糖尿病、免疫抑制状態などによって判断は変わります。

若手医師が外用薬で迷いやすいポイント

  • 顔に強いステロイドを出し続けない
  • 白癬を湿疹と誤診して、ステロイド単独を漫然と続けない
  • 強い炎症には弱すぎる薬を少量だけ出して終わりにしない
  • 「改善したら終わり」ではなく、保湿や再燃予防まで説明する
  • 何日使うか、悪化時にいつ再診するかを必ず伝える

たとえば、体幹や四肢の炎症が強い湿疹では、最初から弱すぎる外用薬を少量だけ使うと、炎症が十分に抑えられず、患者さんが「薬を塗っても治らない」と感じてしまうことがあります。
一方で、顔や眼周囲に強いステロイドを長く使うと副作用の問題が出やすくなります。
そのため、外用薬は強さを怖がるだけでなく、部位と期間を決めて、必要な強さを適切に使うことが大切です。

ステロイド外用薬が効かない時は、何を考えるか

ステロイド外用薬を処方したのに、思ったように改善しないことがあります。
この時に大切なのは、すぐに「もっと強いステロイドを出そう」「もう少し長く塗ってもらおう」と考えるのではなく、効かない理由を一度立ち止まって整理することです。

ステロイドが効かない時には、大きく分けて、使い方の問題と、そもそも診断が違う問題があります。
ここを確認しないまま漫然とステロイドを続けると、症状が改善しないだけでなく、白癬や細菌感染などを悪化させてしまうことがあります。

1. 薬の強さ・部位・量が合っていない
  • 炎症が強いのに、弱すぎるステロイドを使っている
  • 体幹や四肢の病変に、顔用の弱い外用薬だけを使っている
  • 塗る量が少なすぎる
  • 1日1回や2回など、指示された回数で塗れていない
  • 数日だけ塗って、改善前に自己中断している
2. そもそも湿疹ではない
  • 白癬などの真菌感染症
  • とびひ、毛包炎、蜂窩織炎などの細菌感染症
  • 疥癬などの寄生虫疾患
  • 薬疹
  • 乾癬や自己免疫疾患など、別の皮膚疾患

たとえば、足趾間や足底に鱗屑がある、環状の紅斑で辺縁がはっきりしている、片側性・非対称性に広がっている、ステロイドを塗ると一時的に赤みは引くがすぐ再燃する。
このような時は、白癬を鑑別に入れます。

可能であればKOH直接鏡検で真菌を確認します。検査が難しい場合でも、経過や分布から白癬が疑わしい時には、ステロイド単独を漫然と続けないことが大切です。

若手医師に覚えておいてほしい考え方

外用ステロイドが効かない時は、薬を強くする前に、次の3つを確認します。

  • 診断は本当に湿疹でよいか
  • 部位に合った強さの薬を使えているか
  • 十分な量と回数で塗れているか

特に注意したいのは、白癬や細菌感染症を湿疹と誤って、ステロイド単独で長く治療してしまうことです。
炎症が一時的に目立たなくなっても、原因となる感染症が残っていれば、病変が広がったり、診断が遅れたりすることがあります。
「効かないステロイドを長く続ける」のではなく、改善が乏しい時点で診断を見直すことが、外来診療では非常に重要です。

よく聞かれる疑問

「皮膚科専門ではないのに、ステロイドのランクまで判断するのは怖いです」

その感覚は自然です。

ただ、開業医として外来を行う場合、軽症から中等症の湿疹に対して、部位と炎症の強さに応じた初期対応は避けて通れません。

もちろん、改善しない、悪化する、診断に迷う、顔面や陰部など難しい部位、乳幼児の広範囲病変では、皮膚科紹介を考えます。しかし、すべてを最初から紹介にしてしまうと、患者さんにとっても通院負担が大きくなります。

だからこそ、プライマリケア医は、湿疹の初期対応と紹介判断の両方を学ぶ必要があります。

まず外来で押さえたい皮膚疾患2:蕁麻疹

蕁麻疹は、外来でよく出会う皮膚疾患です。

特徴は、膨疹が出たり消えたりすることです。患者さんが診察室に来た時には皮疹が消えていることもあります。

このため、診察時に皮疹がなくても、写真を確認すると診断の助けになります。

蕁麻疹で確認すべき危険サイン

  • 呼吸苦、喘鳴、咽頭違和感
  • 口唇、舌、眼瞼の腫脹
  • 血圧低下、意識がぼんやりする
  • 腹痛、嘔吐、下痢を伴う
  • 食物、薬剤、ハチ刺傷など明確な誘因がある

これらがあれば、単なる蕁麻疹ではなく、アナフィラキシーとして対応すべき可能性があります。

一方で、全身状態が安定している蕁麻疹では、抗ヒスタミン薬を中心に対応し、誘因検索や再発時対応を説明します。

まず外来で押さえたい皮膚疾患3:白癬

白癬は非常に多い疾患ですが、意外に見逃されます。

特に、湿疹だと思ってステロイド外用薬だけを処方していると、白癬が悪化したり、典型的な見た目が分かりにくくなったりします。

白癬を疑うポイント

  • 足趾間の浸軟、落屑、亀裂
  • 足底の鱗屑
  • 環状の紅斑と辺縁の鱗屑
  • 爪の混濁、肥厚、変形
  • 家族内感染やジム、温泉、スポーツとの関連

可能であれば、KOH直接鏡検で真菌を確認します。

ただし、鏡検が難しい環境でも、「湿疹として治療しているのに改善しない」「足趾間や足底に鱗屑がある」「環状紅斑がある」場合には、白癬を鑑別に入れることが重要です。

まず外来で押さえたい皮膚疾患4:帯状疱疹

帯状疱疹は、プライマリケア外来で見逃したくない疾患の一つです。

典型例では、片側性に、神経支配領域に沿って疼痛や違和感が先行し、その後に紅斑や水疱が出現します。

CDCは、帯状疱疹では痛み、かゆみ、しびれ、ピリピリした感覚が発疹に先行することがあると説明しています。また、抗ウイルス薬は発症早期、とくに皮疹出現後72時間以内の開始が有効とされています。※3

帯状疱疹で注意する部位

  • 顔面、特に鼻尖部や眼周囲
  • 耳介周囲、顔面神経麻痺を伴う場合
  • 免疫抑制患者の広範囲病変
  • 強い疼痛がある高齢者
  • 汎発性に水疱が広がる場合

眼部帯状疱疹を疑う場合は、角膜障害や視力障害につながる可能性があるため、眼科紹介を考えます。

帯状疱疹は、皮疹だけでなく痛みの経過も重要です。高齢者では帯状疱疹後神経痛のリスクも考える必要があります。

まず外来で押さえたい皮膚疾患5:蜂窩織炎

蜂窩織炎は、開業医が初期対応する機会の多い皮膚軟部組織感染症です。

典型的には、発赤、熱感、腫脹、疼痛を認めます。発熱や悪寒を伴うこともあります。

NICEの蜂窩織炎・丹毒に関する抗菌薬処方ガイダンスでは、内服可能で重症度が静注抗菌薬を必要としない場合には、第一選択として経口抗菌薬を用いる考え方が示されています。※4

外来で確認したいポイント

  • 発赤の範囲と進行速度
  • 発熱、悪寒、頻脈、血圧低下などの全身症状
  • 糖尿病、免疫抑制、末梢動脈疾患の有無
  • 膿瘍形成がないか
  • 壊死性筋膜炎を疑うほどの強い疼痛がないか
  • 足白癬や外傷など侵入門戸がないか

蜂窩織炎では、発赤範囲をペンで囲む、写真を残す、再診日を明確にするなど、経過を見える化することが大切です。

よく聞かれる疑問

「蜂窩織炎は抗菌薬を出せばよいだけではないのですか」

そう考えたくなる気持ちは分かります。

しかし、蜂窩織炎の中には、膿瘍の切開排膿が必要なもの、深部感染が疑われるもの、壊死性筋膜炎との鑑別が必要なものがあります。

抗菌薬を出して終わりではなく、全身状態、疼痛の強さ、進行速度、基礎疾患、再診時の改善の有無を必ず確認します。

見逃してはいけない皮膚疾患

皮膚科が専門外の医師が最も意識すべきなのは、頻度の高い疾患よりも、見逃すと危険な疾患です。

1. 重症薬疹

薬剤開始後に発熱、全身の紅斑、粘膜症状、眼の充血、びらん、皮膚痛、水疱を伴う場合は、重症薬疹を考えます。

特に、Stevens-Johnson症候群や中毒性表皮壊死症では、早期の専門医療機関への紹介が必要です。

2. 壊死性筋膜炎

皮膚所見の割に痛みが強い、急速に悪化する、発熱やショックを伴う、紫斑や水疱、皮膚壊死を認める場合は、壊死性筋膜炎を考えます。

これは外来で経過を見る疾患ではありません。

3. 紫斑と血管炎

押しても消えない紫斑、下腿優位の紫斑、関節痛、腹痛、腎障害、発熱を伴う場合は、血管炎や血小板減少などを考えます。

皮膚だけの問題ではなく、全身疾患として評価する必要があります。

4. 乳幼児や免疫抑制患者の皮膚感染症

乳幼児、高齢者、糖尿病、ステロイド内服中、抗がん剤治療中、免疫チェックポイント阻害薬使用中などでは、皮膚疾患の見え方が典型的でないことがあります。

軽そうに見えても、悪化が早いことがあるため、慎重に判断します。

皮膚疾患で紹介を考える危険サイン

  • 発熱、悪寒、血圧低下、意識障害など全身状態が悪い
  • 皮膚所見に比べて痛みが非常に強い
  • 短時間で発赤や腫脹が急速に拡大している
  • 粘膜症状、眼症状、水疱、びらんを伴う薬疹を疑う
  • 顔面、眼周囲、陰部、手指など機能面で重要な部位に病変がある
  • 糖尿病、免疫抑制、抗がん剤治療中などハイリスク背景がある
  • 治療しても改善しない、または悪化している
  • 診断に迷い、患者さんへの説明に自信が持てない

患者さんへの説明は「湿疹ですね」で終わらせない

皮膚疾患では、患者さんは見た目の変化に強い不安を感じています。

そのため、診断名だけを伝えるのではなく、次の3つを説明すると安心につながります。

  • 何が疑われるか
  • どのように治療するか
  • どのような時に再受診、紹介が必要か

説明例

「現時点では湿疹の可能性が高いと考えています。ただし、真菌感染や薬疹など、似たような見た目の病気もあります。まずは炎症を抑える外用薬で治療し、数日から1週間程度で改善があるか確認しましょう。広がる、痛みが強くなる、水ぶくれが出る、発熱する場合は早めに再診してください。」

このように説明しておくと、患者さんも再診の目安を理解しやすくなります。

開業医に必要なのは、皮膚科を完璧にすることではありません

皮膚科が専門外の医師が、すべての皮膚疾患を専門医レベルで診断しようとすると、外来は非常に苦しくなります。

しかし、開業医として地域医療を担うなら、皮膚症状をまったく診ないというわけにもいきません。

必要なのは、次の力です。

  • よくある皮膚疾患を初期対応する力
  • 危険な皮膚疾患を見逃さない力
  • 患者さんに分かりやすく説明する力
  • 再診の目安を明確に伝える力
  • 必要なタイミングで皮膚科や救急へつなぐ力

これは、教科書だけでは身につきにくい力です。

実際の外来で、患者さんの訴えを聞き、皮疹を観察し、治療を選び、再診でどう変化したかを確認することで、少しずつ身についていきます。

皮膚疾患を診られることは、開業後の大きな強みになります

皮膚科診療を学ぶメリットは、単に「診られる疾患が増える」ということだけではありません。
開業後のクリニック運営を考えた時にも、皮膚疾患をある程度診られることは、非常に大きな強みになります。

たとえば、患者さんから見ると、
「あそこのクリニックに行けば、内科だけでなく皮膚の相談もできる」
という印象になります。

高血圧、糖尿病、脂質異常症などの慢性疾患で通院している患者さんが、
「湿疹も一緒に診てもらえますか」
「足が赤く腫れているのですが、相談できますか」
「帯状疱疹かもしれないので診てもらえますか」
と相談できるようになると、患者さんにとって通院の安心感が増します。

特に皮膚科の患者さんは、初診で来院される割合が高くなりやすい領域です。
そのため、皮膚疾患をきっかけに、これまでクリニックを知らなかった地域の方に来院していただく機会が生まれます。

もちろん、すべての皮膚疾患を自院で完結させる必要はありません。
重症薬疹、壊死性筋膜炎、診断が難しい皮疹、治療抵抗性の皮膚疾患などは、皮膚科専門医や救急医療機関へ適切につなぐ必要があります。

しかし、湿疹、蕁麻疹、白癬、帯状疱疹、蜂窩織炎など、プライマリケア外来でよく出会う皮膚疾患を初期対応できるようになると、
患者さんにとって相談しやすいクリニックになります。

開業後に地域で選ばれるクリニックをつくるためには、
内科だけでなく、皮膚科、小児科、生活習慣病、急性症状まで幅広く相談できる外来診療力
が大切です。
皮膚科診療は、その入口としても非常に相性のよい領域だと感じています。

 

専門外の皮膚疾患も、外来で判断できる力を身につけたい先生へ

これから開業を考えている先生にとって、皮膚疾患は避けて通れない領域です。

消化器内科、循環器内科、外科、救急などを専門にしてきた先生でも、開業後は「子どもの湿疹を診てほしい」「足が赤く腫れている」「帯状疱疹かもしれない」「薬を飲んだ後に発疹が出た」といった相談を受けます。

その時に必要なのは、専門医と同じことをすべて行う力ではありません。

プライマリケア医として適切に初期評価し、治療し、説明し、必要な時に連携する力です。

あまが台ファミリークリニックでは、医師歴25年以上の家庭医療専門医のもとで、皮膚疾患だけでなく、糖尿病、高血圧、脂質異常症、小児疾患、睡眠時無呼吸症候群、肥満治療など、専門分野以外のプライマリケア疾患を幅広く学ぶことができます。

専門外の皮膚疾患も、外来で判断できる力を身につけたい先生へ

あまが台ファミリークリニックの開業前研修では、皮膚疾患、小児科、生活習慣病、総合診療、クリニック経営、集患、スタッフ採用まで、実際の現場を通して学べます。

まとめ:皮膚疾患は、見た目だけでなく危険度で考える

皮膚科が専門外の医師でも、開業後は皮膚疾患の相談を受けます。

その時に大切なのは、すべての疾患名を一発で当てることではありません。

まず、危険な皮膚疾患を見逃さないこと。次に、よくある皮膚疾患に対して初期対応ができること。そして、患者さんに分かりやすく説明し、再診や紹介のタイミングを明確に伝えることです。

湿疹、蕁麻疹、白癬、帯状疱疹、蜂窩織炎は、プライマリケア外来でよく出会う疾患です。

一方で、重症薬疹、壊死性筋膜炎、血管炎、免疫抑制患者の皮膚感染症は、見逃すと危険です。

若手医師の先生には、皮膚科を専門医レベルで完璧にすることよりも、「どこまで自分で診るか」「どこから紹介するか」を判断する力を身につけてほしいと思います。

外来で本当に使えるプライマリケアの判断力を学びたい先生へ

開業後は、患者さんが「先生は皮膚科専門ではないから」と遠慮して来院するわけではありません。

湿疹、かゆみ、じんましん、足の水虫、帯状疱疹、蜂窩織炎、小児の発疹、薬疹など、さまざまな症状で相談されます。

その時に必要なのは、専門医と同じことをすべて行う力ではなく、プライマリケア医として適切に初期評価し、説明し、必要な時に連携する力です。

あまが台ファミリークリニックでは、医師歴25年以上の家庭医療専門医のもとで、皮膚疾患を含む幅広い外来診療、クリニック経営、集患、スタッフ採用、組織づくりを、実際の現場で学ぶことができます。

開業後に困らない外来診療力を、今のうちに身につけませんか?

皮膚疾患、小児科、生活習慣病、総合診療、クリニック経営、集患、スタッフ採用まで。開業前に、実際の現場で学ぶことで、将来の不安を減らすことができます。

無理な勧誘ではなく、先生ご自身の将来像に合うかどうかを確認する機会としてご相談ください。

参考文献

  • ※1 Stevens DL, Bisno AL, Chambers HF, et al. Practice Guidelines for the Diagnosis and Management of Skin and Soft Tissue Infections. Infectious Diseases Society of America. 2014. https://www.idsociety.org/practice-guideline/skin-and-soft-tissue-infections/
  • ※2 American Academy of Dermatology. Atopic dermatitis clinical guideline. https://www.aad.org/member/clinical-quality/guidelines/atopic-dermatitis
  • ※3 Centers for Disease Control and Prevention. Clinical Overview of Shingles. https://www.cdc.gov/shingles/hcp/clinical-overview/index.html
  • ※4 National Institute for Health and Care Excellence. Cellulitis and erysipelas: antimicrobial prescribing. NICE guideline NG141. https://www.nice.org.uk/guidance/ng141
この記事の監修者
細田 俊樹
  • 医療法人社団緑晴会 あまが台ファミリークリニック 理事長
  • 日本プライマリ・ケア連合学会 家庭医療専門医
  • 日本糖尿病学会正会員、日本睡眠学会所属、日本肥満学会所属

年間15,000人以上の患者さんを診察している総合診療専門医。
総合診療という専門分野を生かし、内科、皮膚科、小児科、生活習慣病まで様々な病気や疾患に対応している。
YouTubeでよくある病気や患者さんの疑問に対して解説している