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めまいを診た時のプライマリケア医の判断軸|千葉で学ぶ開業前研修

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若手医師・開業を目指す先生へ

めまいを診た時のプライマリケア医の判断軸

「めまい」と言われた時、良性発作性頭位めまい症なのか、前庭神経炎なのか、メニエール病なのか、それとも脳卒中なのか。

若手医師にとって、めまい診療で一番怖いのは、よくある末梢性めまいの中に隠れた小脳梗塞や脳幹梗塞を見逃してしまうことです。この記事では、従来のめまい診療の考え方を入口にしながら、近年重視されているTiTrATE、GRACE-3、HINTSの考え方も踏まえて、開業前に身につけておきたい外来での判断軸を整理します。

  • めまいの患者さんを診ると、脳卒中が心配になる
  • 回転性めまい、浮動性めまい、前失神の整理は分かるが、それだけでよいのか不安
  • BPPV、前庭神経炎、メニエール病、小脳梗塞の見分け方を整理したい
  • TiTrATE、GRACE-3、HINTSを、外来でどう使えばよいのか知りたい
  • どこまでクリニックで診て、どこから救急紹介するかを学びたい

めまい診療は、若手医師にとって非常に迷いやすいテーマです。

患者さんは「ぐるぐるする」「ふわふわする」「立ちくらみがする」「何となく気持ち悪い」など、さまざまな言葉で症状を表現します。

従来は、めまいを回転性めまい、浮動性めまい、前失神などに分類して考えることが多くありました。この分類は今でも大切です。

しかし、それだけでは危険なめまいを見逃すことがあります。

なぜなら、小脳梗塞でも「ぐるぐるする」と訴えることがありますし、BPPVでも「ふわふわする」と表現されることがあるからです。

つまり、患者さんの言葉だけで「これは内耳性」「これは心因性」と決めてしまうのは危険です。

プライマリケア医に必要なのは、すべてのめまいを専門医レベルで完結させる力ではありません。大切なのは、よくあるめまいを整理し、危険なめまいを拾い上げ、必要な時に適切な医療機関へつなぐ力です。

目次

皆さん、こんにちは。あまが台ファミリークリニック院長の細田です

皆さん、こんにちは。あまが台ファミリークリニック院長の細田です。

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私は医師歴25年以上の家庭医療専門医として、地域医療の最前線で診療を続けてきました。
あまが台ファミリークリニックでは、内科、糖尿病内科、小児科、皮膚科を標榜し、生活習慣病から小児疾患、皮膚疾患、急性症状まで幅広い外来診療を行っています。

めまいは、診療科の境界にまたがる症状です。
耳鼻科なのか、脳神経内科なのか、循環器なのか、救急搬送すべきなのか。ここで迷う若手医師は少なくありません。

私自身も、地域の外来で数多くのめまいの患者さんを診てきました。
その中で大切だと感じているのは、めまい診療では「めまい止めを出すかどうか」よりも先に、このめまいを外来で診てよいのか、今すぐ病院へつなぐべきなのかを判断することです。

実際のクリニック運営で学んできたことをお伝えします

私は2019年9月に、千葉県長生郡長生村であまが台ファミリークリニックを開業しました。
開業からもうすぐ7年になり、現在は年間約2.5万人の患者さんを診察しています。

クリニック運営は、院長一人の力だけで成り立つものではありません。
現在は、非常勤医師5名、看護師4名、管理栄養士5名、医療事務2名、クリーンスタッフ1名、採用秘書担当1名、外部コンサルタントの教育係2名とともに、日々の診療と組織づくりに取り組んでいます。

だからこそ、この記事でお伝えする内容は、理論だけの話ではありません。
実際に採用し、教育し、スタッフと向き合い、悩みながらクリニックを運営してきた中で大切だと感じていることです。

開業前研修の実績

現在、当院で研修を受けた3名の先生が、それぞれご自身のクリニックを開業し、地域医療の現場で活躍されています。

また、現在も2名の医師が当院で研修を行い、外来診療、クリニック経営、集患、スタッフ採用、組織づくりについて、実際の現場を通して学んでいます。

開業前研修では、単に知識をお伝えするだけではありません。将来、自分のクリニックを開業した時に、患者さんに選ばれ、スタッフと信頼関係を築き、地域で長く続けられる医療機関をつくるための考え方と実践を共有しています。

結論:めまいは「何性めまいか」より先に「危険なめまいか」を判断する

めまいを診た時、最初に考えるべきことは「回転性か、浮動性か」だけではありません。

もちろん、その分類は入口として大切です。しかし、最初にやるべきことは、脳卒中、不整脈、低血糖、重度の脱水、脳腫瘍など、見逃してはいけない原因が隠れていないかを確認することです。

特に後方循環の脳卒中では、めまい、ふらつき、歩行障害、構音障害、複視、嚥下障害などが出ることがあります。小脳や脳幹の病変では、典型的な片麻痺が目立たず、めまいが前面に出ることもあります。

そのため、めまい診療では、耳の病気だけを考えるのではなく、中枢性めまいを常に鑑別に入れる必要があります。

めまいで最初に確認したい危険サイン

  • 突然発症で、これまでにない強いめまい
  • まっすぐ歩けない、立てない、座位保持が難しい
  • 構音障害、ろれつが回らない
  • 複視、眼球運動障害
  • 片側のしびれ、脱力、顔面麻痺
  • 嚥下障害、むせる
  • 激しい頭痛、後頸部痛を伴う
  • 意識障害、失神、強い血圧異常
  • 動悸、胸痛、脈の乱れを伴う
  • 高齢、糖尿病、高血圧、心房細動、喫煙など脳卒中リスクがある

これらがある場合は、良性のめまいと決めつけず、脳卒中や循環器疾患を含めた救急評価を考えます。

従来のめまい診療:まず「めまい」を4つに分ける

従来のめまい診療では、まず患者さんの表現から、めまいを大きく4つに分けて考えることが多くありました。

この考え方は今でも有用です。特に外来で最初に症状を整理する時には役立ちます。

従来のめまいの4分類

分類 患者さんの表現 主な原因 注意点
回転性めまい ぐるぐる回る、まわりが動いている 内耳、前庭神経、小脳、脳幹の異常 内耳性が多いが、小脳梗塞や脳幹梗塞でも起こる
浮動性めまい ふわふわする、不安定 眼、筋肉、大脳、薬剤、加齢など複数の異常 高齢者では薬剤、脱水、神経疾患も考える
前失神 気が遠くなる、眼の前が暗くなる 血圧低下、脱水、不整脈、低血糖、心不全など 脈拍、血圧、心電図、血糖を確認する
その他 表現しにくい、揺れているような感じ 不安、うつ、薬剤、神経疾患など 心因性と決めつけず、身体疾患を除外する

この4分類は、患者さんの訴えを整理する入口として非常に便利です。

しかし、限界もあります。

患者さんの表現は必ずしも医学的な分類と一致しません。小脳梗塞でも「ぐるぐるする」と言うことがありますし、BPPVでも「ふわふわする」と言う方がいます。

そのため、従来の4分類だけで診断を完結させるのではなく、次に「時間経過」と「誘発因子」で整理し直すことが重要です。

新しいめまい診療:症状の言い方より「時間経過と誘発因子」で考える

近年のめまい診療では、「ぐるぐるか、ふわふわか」という症状の質だけに頼るのではなく、いつ始まり、どのくらい続き、何で誘発されるかを重視する考え方が広がっています。

この考え方を整理したものが、TiTrATEです。

日本語では、タイトレート とよんだりします。

TiTrATEとは、Timing、Triggers、Targeted Examinationの頭文字です。日本語にすると、時間経過、誘発因子、標的を絞った診察です。

TiTrATEとは何か

  • Timing:いつ始まり、どのくらい続くか
  • Triggers:寝返り、起き上がり、立ち上がりなどで誘発されるか
  • Targeted Examination:眼振、歩行、神経所見、起立性血圧、心電図などを狙って確認する

簡単に言えば、TiTrATEは、患者さんの「ぐるぐる」「ふわふわ」という言葉だけに頼らず、
時間経過と誘発因子から鑑別を整理し、必要な診察につなげる方法
です。

GRACE-3でも、急性めまいの評価では、症状の時間経過と誘発因子に基づいて整理することが重視されています。※1

つまり、従来の4分類は入口として使い、その後にTiTrATEで再整理する。この二段構えが、外来では非常に実践的です。

TiTrATEでめまいを3つのパターンに分ける

TiTrATEを使うと、めまいは大きく3つのパターンに分けて考えやすくなります。

TiTrATEで整理する3つのめまいパターン

タイプ 特徴 代表疾患 診察のポイント
頭位誘発性めまい 寝返り、起き上がり、上を向くなどで短時間誘発される 良性発作性頭位めまい症 Dix-Hallpike、眼振、神経症状の有無を確認する
持続性の急性めまい 急に始まり、数時間から数日続く。嘔気、嘔吐、歩行障害を伴うことがある 前庭神経炎、小脳梗塞、脳幹梗塞 脳卒中を意識し、歩行、眼球運動、神経所見を丁寧に見る
発作性の自発性めまい 明確な頭位誘発ではなく、発作的に起こり、繰り返す メニエール病、前庭性片頭痛、TIA、不整脈 耳症状、頭痛、神経症状、動悸、失神の有無を確認する

このように分けると、めまい診療はかなり整理しやすくなります。

特に大切なのは、急に始まって数時間から数日続く持続性のめまいです。このタイプでは、前庭神経炎だけでなく、小脳梗塞や脳幹梗塞を必ず考える必要があります。

症例で考える:68歳男性、高血圧あり、突然の持続性めまい

たとえば、68歳男性。高血圧、糖尿病、喫煙歴があります。

朝から急に強いめまいが始まり、吐き気もあります。患者さんは「ぐるぐる回る」と言っています。診察室に入る時、支えがないと歩けません。

この時に、「ぐるぐるするから内耳性めまいでしょう」と考えるのは危険です。

この症例では、急性発症、持続性めまい、歩行困難、高齢、糖尿病、高血圧という要素があります。つまり、小脳梗塞や脳幹梗塞を含めた中枢性めまいを疑う必要があります。

この症例で確認したいこと

  • ろれつが回らない、言葉が出にくいなどの構音障害はないか
  • 複視、眼球運動障害はないか
  • 片側のしびれ、脱力、顔面麻痺はないか
  • 指鼻試験、踵膝試験で失調はないか
  • 座位、立位、歩行が保てるか
  • 眼振の方向が一定か、注視方向で変わるか
  • 強い頭痛や後頸部痛はないか
  • 心房細動や不整脈がないか

特に、立てない、歩けない、座っていられないほどのめまいは、外来で軽く扱ってはいけません。

「めまいが強いから歩けない」のか、「小脳や脳幹の障害で歩けない」のかを意識して診察する必要があります。

HINTSは便利だが、使い方を間違えると危険

急性持続性めまいでは、HINTSという診察法が有名です。

HINTSは、Head Impulse、Nystagmus、Test of Skewの頭文字です。

日本語で言えば、頭部衝動検査、眼振、斜偏位検査を組み合わせて、急性前庭症候群で末梢性か中枢性かを見分けるためのベッドサイド診察です。※5

HINTSで見る3つのポイント

  • Head Impulse Test:前庭眼反射を見る
  • Nystagmus:眼振の方向が一定か、注視方向で変わるかを見る
  • Test of Skew:垂直方向の眼位ずれを見る

眼振を見る時は、単に「目が揺れているか」だけではなく、揺れ方が末梢性めまいとして自然かを確認します。

たとえば、内耳や前庭神経が原因の末梢性めまいでは、眼振の向きが比較的一定であることが多いです。
一方で、右を見た時と左を見た時で眼振の向きが変わる、上向きや下向きの眼振が目立つ、片目ずつ隠した時に目が上下にずれるような所見がある場合は、内耳だけでは説明しにくくなります。

つまり、眼振の方向が見る向きによって変わる、縦方向の眼振がある、左右の眼の位置が上下にずれるといった所見は、小脳や脳幹など中枢の異常を疑うサインです。
このような場合は、「めまい止めで様子を見る」ではなく、脳卒中を含めて救急評価や専門医への紹介を考えます。

ただし、HINTSは「めまいなら何でも使える検査」ではありません。
急性持続性めまいがあり、眼振がある患者さんで、前庭神経炎か脳卒中かを迷うような場面で使うものです。
BPPVのように頭位で数秒だけ出るめまいや、めまいが消えている患者さんに何となく使って安心するのは危険です。

HINTSは、正しく使えば非常に有用です。しかし、適応を間違えたり、眼振の評価に慣れていなかったりすると、かえって誤った安心につながる可能性があります。

若手医師は、HINTSを「脳卒中を否定する魔法の検査」として使うのではなく、病歴、バイタル、歩行、神経所見とセットで使う必要があります。

末梢性めまいと中枢性めまいの見分け方

めまい診療で最も重要なのは、末梢性めまいと中枢性めまいをどう見分けるかです。

末梢性めまいは、内耳や前庭神経の異常で起こることが多く、BPPV、前庭神経炎、メニエール病などが代表です。

中枢性めまいは、小脳、脳幹、大脳などの異常で起こり、脳梗塞、脳出血、腫瘍などが含まれます。

項目 末梢性めまいを考える所見 中枢性めまいを考える所見
代表疾患 BPPV、前庭神経炎、メニエール病 小脳梗塞、脳幹梗塞、脳出血、脳腫瘍
眼振 方向固定性のことが多い 注視方向で変わる、垂直性、純回旋性など
歩行 ふらつきはあっても、支えれば歩けることがある 立てない、座位保持困難、強い体幹失調
神経症状 通常は明らかな神経脱落症状を伴わない 構音障害、複視、嚥下障害、片麻痺、しびれ、失調
頭痛・後頸部痛 強い頭痛は通常目立たない 強い頭痛、後頸部痛を伴う場合は注意
リスク因子 若年で血管リスクが少ない場合が多い 高齢、高血圧、糖尿病、心房細動、喫煙、脳卒中既往

若手医師のドクターによく聞かれる疑問

疑問1:ぐるぐるするなら、基本的に内耳性と考えてよいですか?

そう考えたくなる気持ちはよく分かります。確かに、ぐるぐるする回転性めまいでは、BPPVや前庭神経炎などの末梢性めまいが多くあります。

ただし、小脳梗塞や脳幹梗塞でも回転性めまいを訴えることがあります。したがって、「ぐるぐるするから内耳性」と決めつけるのではなく、歩行障害、構音障害、複視、片側のしびれ、血管リスクの有無を必ず確認します。

疑問2:HINTSを使えば、脳卒中を否定できますか?

HINTSは有用な診察法ですが、使う場面と技術が重要です。

HINTSは、急性持続性めまいがあり、眼振がある患者さんで、前庭神経炎か脳卒中かを鑑別する時に使います。BPPVのように頭位で数秒だけ出るめまいや、すでに症状が消えている患者さんに何となく使って安心するものではありません。慣れていない場合は、HINTSで安心せず、病歴、歩行、神経所見、リスク因子を重視します。

疑問3:頭部CTで異常がなければ、中枢性めまいは否定できますか?

ここも注意が必要です。特に後方循環の脳梗塞では、発症早期の画像で分かりにくいことがあります。

そのため、画像だけで安心するのではなく、症状の経過、歩行障害、神経所見、血管リスクを総合して判断します。クリニックでは画像検査ができないことも多いため、疑わしい時は無理に外来で抱え込まないことが大切です。

疑問4:めまいの患者さんを全員紹介していたら、クリニックでは何も診られなくなりませんか?

その感覚はとてもよく分かります。実際、めまいの多くは、BPPVや前庭性疾患、起立性低血圧など、外来で初期対応できるものです。

ただし、開業医として大切なのは、紹介を減らすことではありません。紹介すべきめまいを見逃さず、経過を見られるめまいは説明と再診目安を明確にすることです。つまり、紹介するかしないかの二択ではなく、危険度を分ける力が必要です。

めまいを見逃さない外来判断力を、実際の現場で学びたい先生へ

あまが台ファミリークリニックの開業前研修では、めまい、胸痛、腹痛、皮膚疾患、小児科、生活習慣病、総合診療、クリニック経営、集患、スタッフ採用まで、実際の外来を通して学べます。

当院は千葉県長生郡長生村にありますが、千葉市・茂原市周辺だけでなく、東京都東部方面からも見学や研修相談に来られる先生がいます。まずは1日体験入職で、実際の外来診療やクリニック運営の雰囲気を見ていただくことも可能です。

BPPVは多いが、BPPVと決めつけない

良性発作性頭位めまい症、BPPVは、外来で非常によく出会うめまいです。

典型的には、寝返り、起き上がり、上を向く、下を向くなど、頭の位置を変えた時に短時間の回転性めまいが出ます。めまいは多くの場合、数秒から1分以内でおさまります。

このような場合は、Dix-Hallpikeテストや頭位変換で誘発される眼振を確認し、BPPVを考えます。

ただし、BPPVらしく見えても、神経症状がある、歩けない、頭痛が強い、高齢で血管リスクが高い場合は、中枢性を考えます。

BPPVらしいめまいの特徴

  • 寝返り、起き上がり、上を向くなど頭位変換で誘発される
  • 発作は短時間で、長く持続しない
  • 難聴や耳鳴りを伴わないことが多い
  • 神経脱落症状がない
  • 発作の間は比較的落ち着いている

前庭神経炎と小脳梗塞は、外来で最も迷いやすい

若手医師が特に迷いやすいのは、前庭神経炎と小脳梗塞の鑑別です。

どちらも、急に始まる持続性の回転性めまい、嘔気、嘔吐、歩行困難を伴うことがあります。

ここで重要なのは、「めまいが強いから前庭神経炎」と決めつけないことです。

小脳梗塞でも、強いめまいと嘔吐が前面に出ることがあります。特に高齢者、高血圧、糖尿病、心房細動、喫煙歴がある患者さんでは、脳卒中を必ず意識します。

前庭神経炎と小脳梗塞を見分ける時の視点

  • 脳卒中リスクがあるか
  • 歩行できるか、立位保持できるか
  • 構音障害、複視、嚥下障害、片側しびれがないか
  • 眼振が末梢性として説明しやすいか
  • 頭痛や後頸部痛がないか
  • 心房細動や不整脈がないか

少しでも中枢性が否定しきれない場合は、外来で長く抱え込まず、画像検査や専門評価につなげる判断が必要です。

メニエール病を疑う時は、耳症状をセットで見る

メニエール病では、反復するめまいに加えて、難聴、耳鳴り、耳閉感などの耳症状を伴うことがあります。

めまいだけでなく、耳の症状があるかを必ず確認します。

  • 耳が詰まった感じがあるか
  • 耳鳴りがあるか
  • 聞こえにくさがあるか
  • めまい発作を繰り返しているか

一方で、めまいと耳鳴りがあっても、神経症状や歩行障害があれば中枢性を除外する必要があります。

前失神では不整脈、起立性低血圧、低血糖を忘れない

めまいをすべて耳や脳で考えると、他の重要な原因を見逃します。

立ち上がった時にふらつく、目の前が暗くなる、失神しそうになる場合は、起立性低血圧を考えます。

動悸を伴う、突然ふらつく、失神がある場合は、不整脈を考えます。

糖尿病治療中の患者さんでは、低血糖によるふらつき、冷汗、動悸も確認が必要です。

めまい診療では、耳鼻科疾患だけでなく、血圧、脈拍、血糖、薬剤、脱水、不整脈まで見ることが大切です。
めまいは症状であって、診断名ではありません。

患者さんへの説明で大切なこと

めまいの患者さんは、とても不安です。

「脳の病気ではないか」「また起きたらどうしよう」「仕事に行って大丈夫か」と心配されています。

そのため、外来で経過を見る場合でも、ただ「めまい止めを出しておきます」で終わらせないことが大切です。

説明例

「今の診察では、明らかな麻痺やろれつの障害、複視、強い歩行障害は認めません。症状の出方からは、頭の位置で誘発される良性発作性頭位めまい症の可能性を考えています。ただし、めまいは経過の中で変化することがあります。ろれつが回らない、手足に力が入らない、物が二重に見える、まっすぐ歩けない、強い頭痛が出る場合は、すぐに救急受診してください。」

このように、現時点の判断と、再受診・救急受診の目安をセットで伝えることが重要です。

めまいを診られることは、開業後の大きな強みになります

めまい診療を学ぶメリットは、単に診断の知識が増えることだけではありません。

開業後のクリニック運営を考えた時にも、めまいに対して適切な初期対応ができることは大きな強みになります。

患者さんから見ると、「めまいがした時も、まず相談できるクリニック」という安心感につながります。

もちろん、脳卒中や重篤な疾患が疑われる場合は、速やかに救急へつなぐ必要があります。

しかし、めまいのすべてが救急疾患ではありません。BPPV、前庭神経炎、メニエール病、起立性低血圧、薬剤性めまいなどを含めて、患者さんに分かりやすく説明できると、地域のかかりつけ医としての信頼は高まります。

めまいを診られる医師は、開業後に強い

開業後は、患者さんが「先生は耳鼻科専門ではないから」と遠慮して相談するわけではありません。
めまい、頭痛、胸痛、腹痛、発熱、皮疹、小児の症状など、さまざまな訴えで来院されます。

その時に必要なのは、すべてを専門医レベルで完結させる力ではありません。
どこまで自院で診るか、どこから専門医や救急へつなぐかを判断する力です。

めまい診療は、その判断力を鍛えるうえで非常に重要なテーマです。

胸痛、腹痛、皮膚疾患と同じように、めまいも開業前に学んでおきたい

開業後の外来では、患者さんは診療科を選んで症状を相談してくるわけではありません。

「胸が痛い」「お腹が痛い」「皮膚が赤い」「子どもが熱を出した」「めまいがする」など、さまざまな症状で来院されます。

その時に、すべてを専門医レベルで完結させる必要はありません。

大切なのは、初期評価を行い、危険な疾患を見逃さず、患者さんに分かりやすく説明し、必要な時に適切な医療機関へつなぐことです。

あまが台ファミリークリニックでは、医師歴25年以上の家庭医療専門医のもとで、めまい、胸痛、腹痛、皮膚疾患、小児疾患、生活習慣病など、専門分野以外のプライマリケア疾患を幅広く学ぶことができます。まとめ:従来の分類を入口にしながら、新しい判断軸で危険なめまいを見逃さない

めまい診療では、従来の回転性めまい、浮動性めまい、前失神という分類は今でも役立ちます。

ただし、その分類だけで診断を決めてしまうと、危険なめまいを見逃すことがあります。

これからのプライマリケア外来では、患者さんの表現だけでなく、時間経過、誘発因子、標的を絞った診察で整理することが重要です。

TiTrATEは、その思考の型として役立ちます。

HINTSは、急性持続性めまいで中枢性めまいを拾い上げる助けになりますが、適応と技術が必要です。

つまり、めまい診療では、従来の分類と新しい診療体系を対立させるのではなく、組み合わせて使うことが大切です。

若手医師の先生には、開業前にぜひ、めまいを含めた幅広い外来診療の判断軸を身につけてほしいと思います。

外来で本当に使えるプライマリケアの判断力を学びたい先生へ

開業後は、患者さんが専門科を選んで症状を相談してくるわけではありません。

めまい、胸痛、腹痛、発熱、皮疹、小児の症状、生活習慣病、睡眠の悩み、肥満の相談など、さまざまな訴えで来院されます。

その時に必要なのは、すべてを自院で完結する力ではなく、適切に初期評価し、説明し、必要な時に専門医や救急へつなぐ力です。

あまが台ファミリークリニックでは、医師歴25年以上の家庭医療専門医のもとで、めまいを含む幅広い外来診療、クリニック経営、集患、スタッフ採用、組織づくりを、実際の現場で学ぶことができます。

開業後に困らない外来診療力を、今のうちに身につけませんか?

めまい、胸痛、腹痛、皮膚疾患、小児科、生活習慣病、総合診療、クリニック経営、集患、スタッフ採用まで。開業前に、実際の現場で学ぶことで、将来の不安を減らすことができます。

無理な勧誘ではなく、先生ご自身の将来像に合うかどうかを確認する機会としてご相談ください。

参考文献

  • ※1 SAEM. GRACE-3: Acute Dizziness and Vertigo in the Emergency Department. https://www.saem.org/publications/grace/grace-3
  • ※2 Edlow JA, et al. Guidelines for reasonable and appropriate care in the emergency department 3: Acute dizziness and vertigo in the emergency department. Academic Emergency Medicine. 2023. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37166022/
  • ※3 Newman-Toker DE, Edlow JA. TiTrATE: A Novel, Evidence-Based Approach to Diagnosing Acute Dizziness and Vertigo. Neurologic Clinics. 2015. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4522574/
  • ※4 NICE. Suspected neurological conditions: recognition and referral. Recommendations for adults aged over 16. https://www.nice.org.uk/guidance/ng127/chapter/recommendations-for-adults-aged-over-16
  • ※5 Kattah JC, et al. HINTS to diagnose stroke in the acute vestibular syndrome. Stroke. 2009. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19762709/
この記事の監修者
細田 俊樹
  • 医療法人社団緑晴会 あまが台ファミリークリニック 理事長
  • 日本プライマリ・ケア連合学会 家庭医療専門医
  • 日本糖尿病学会正会員、日本睡眠学会所属、日本肥満学会所属

年間15,000人以上の患者さんを診察している総合診療専門医。
総合診療という専門分野を生かし、内科、皮膚科、小児科、生活習慣病まで様々な病気や疾患に対応している。
YouTubeでよくある病気や患者さんの疑問に対して解説している