開業準備・開業の仕方

医師は何年目で開業するのが正解?平均年齢・タイミング・準備期間を徹底解説

開業準備・開業の仕方

こんな疑問や悩みを持っていませんか?

  • 開業したいけど、まだ経験が足りないのでは…と踏み出せない
  • 同期が開業を考え始めていて、自分はどうすべきか迷っている
  • 30代で開業するのは早すぎるのか、40代まで待つべきか判断できない
  • 専門医を取ってから開業すべきか、先に開業すべきかわからない
  • 開業の準備にどのくらいの期間が必要なのか見当がつかない
  • 「いつかやろう」と思っているうちに、ベストなタイミングを逃しそうで焦っている

こういった疑問や悩みを持っている先生に、今回のブログは必ず役立ちます。ぜひ最後まで読んでください。

皆さん、こんにちは。

あまが台ファミリークリニック 院長の細田俊樹です。

私はプライマリ・ケア(総合診療)を専門に、医師として25年目になります。家庭医療専門医として2019年9月に千葉県長生郡に当院を開業しました。開業時は医師歴18年目でした。

当院には常時2名の開業前研修医の先生が来てくれています。(下の写真)

また開業前研修をしたくて、毎年10名近くの方が体験勤務に来てくれていますが、多くの先生に聞かれるのが

「先生、何年目ぐらいで開業するのがいいのでしょうか?」

という質問です。

今回は、データと実体験の両方をもとに、この疑問に正直にお答えします。

ちなみに私自身は44歳で開業しました。開業した年齢については後悔していませんが、経営と診療はまた別の軸で考えていく必要があります。

そこで、もし自分が30代だったらどう考えるかという視点も盛り込みながら、今回「何年目で開業するのが良いのか」というテーマを考えてみたいと思います。

まず結論からお伝えします。

「開業に”正解の年数”はありません。ただし、早く始めた人が有利になる理由は確かに存在します」

これが私の本音です。「何年目が正解か」という問いに、数字で答えることはできません。しかし、タイミングを決めるための明確な基準はあります。今回はその基準と、準備期間の目安をお伝えします。

医師の開業、平均は何年目・何歳?

まず客観的なデータを見てみましょう。

開業医の平均データ(参考)

項目 データ
開業時の平均年齢 40〜44歳が最多層
医師免許取得からの平均年数 おおよそ15〜18年目
30代での開業割合 約20〜25%(増加傾向)
開業準備にかかる平均期間 1〜2年(物件探しから開業まで)

※日本医師会・厚生労働省調査(2022年)をもとに作成(※1)

データを見ると「15〜18年目・40代前半」が平均ですが、これはあくまでも過去の世代の平均値です。近年は30代での開業が増加傾向にあり、「若い方が有利」という声も増えています。

では、なぜ30代・早期開業が増えているのか。その背景から見ていきましょう。

早く開業した方が有利な3つの理由

有利な理由 1

経営者としての「学習期間」が長くとれる

クリニック経営はスキルです。診療の腕と同様に、経営・採用・集患・財務は実践の中で磨かれていきます。

30代で開業した場合、50代まで20年以上の経営期間があります。最初の3〜5年で「経営者としての成長期」を乗り越えれば、その後の10〜15年は安定した経営基盤の上で医療に集中できます。

一方、45歳以降に開業した場合、経営が軌道に乗るころには50代になり、体力的・精神的に余裕が少なくなる時期と重なりやすくなります。(※2)

「でも30代はまだ経験不足では?」という先生へ

経験年数と開業の成功率は、実はそれほど相関しません。むしろ「経営を学ぶ姿勢があるか」「現場を見て準備できているか」の方が重要です。医師10年目で開業して成功している先生も、20年目で開業して苦労している先生も、どちらも実際にいます。

有利な理由 2

融資審査・返済体力が若い方が有利

クリニック開業には平均5,000〜7,000万円(テナント物件の場合)の資金が必要です。この資金の多くは日本政策金融公庫や銀行からの融資で賄います。

融資審査では「返済期間中の年齢」も考慮されます。35歳での開業なら、15〜20年ローンの完済時は50〜55歳。45歳での開業なら完済時は60〜65歳と、定年・引退時期と重なります。若い方が審査上も有利になるケースがあります。(※3)

また、若いうちの方が体力的な余裕があり、開業初期の多忙な時期を乗り越えやすいという現実もあります。

「自己資金がほとんどない場合はどうすればいい?」という先生へ

開業資金の全額を自己資金で用意する必要はありません。日本政策金融公庫の「新規開業資金」は、自己資金が少なくても申請できる融資制度です。重要なのは事業計画書の内容と、融資担当者への説明力です。開業前に金融機関との相談を早めに始めることをおすすめします。

有利な理由 3

Web集患・SNS発信のリターンが長期で積み上がる

現代のクリニック集患において、ホームページ・ブログ・YouTube・SNSは欠かせません。これらは始めた時点から資産として積み上がり、時間が経つほど強くなるツールです。

30歳代で開業してブログやYouTubeを始めれば、10年後には圧倒的な集患基盤が出来上がっています。45歳で始めた場合、同じ集患力を得るころには55歳になっています。

当院も開業と同時にブログ・YouTubeを始め、現在(開業6年目)でYouTube登録者53万人・月間23万アクセスを達成しています。Web集患は早く始めるほど、複利的に効いてきます。(※4)

「SNSや動画が苦手でも大丈夫?」という先生へ

大丈夫です。私自身、開業前はYouTubeもブログも未経験でした。大切なのはスキルより「患者さんに役立つ情報を正確に伝える」姿勢だけです。最初は稚拙でも、続けることで必ず形になります。

「開業のタイミング・準備」を現場で学びたいなら

あまが台ファミリークリニックの
開業前ドクター向け実践研修へ

経営・採用・集患・診療スキルまで、開業に必要なすべてを現場で学べます。週1回からの参加もOKです。

まずは情報収集だけでもOK。登録は無料です。

LINEに登録すると限定動画
「失敗しない開業のための採用2つのポイント」を無料でお届け

LINEで限定動画を受け取る(無料)

「今が開業のタイミング」かどうかを判断する5つの基準

「年数」ではなく「準備の質」で開業タイミングを判断してください。以下の5つの基準を自分に照らし合わせてみてください。

基準 1

プライマリーケアの基本的な対応力がある

地域のクリニックでは、内科・小児科・皮膚科・整形外科など幅広い症状への対応が求められます。「専門外は全部お断り」では、かかりつけ医として患者さんに選ばれません。

「この症状はここまで診て、ここからは専門医に紹介する」という判断軸を持っていることが、開業の準備ができているかどうかの重要な基準のひとつです。専門医としての深さに加え、総合診療の広さを意識して準備しておきましょう。(※5)

基準 2

「なぜ開業するか」を言葉にできる

「勤務医が嫌になったから」「収入を増やしたいから」という理由だけでは、開業後の苦しい時期を乗り越えられません。

「どんな地域医療を実現したいか」「どんな患者さんのために開業するか」を言葉にできているかどうかが、長期的な経営の安定に直結します。この「理念」はスタッフ採用・患者さんへの発信・経営判断のすべての根拠になります。

基準 3

経営の基礎数字を自分で把握できる

損益分岐点(月何人来れば黒字か)・人件費率・月次キャッシュフロー——この3つを自分の言葉で説明できますか?

これらを「税理士に任せておけばいい」と思っている先生は、開業後に経営危機に気づくのが遅れるリスクがあります。経営の数字を毎月自分の目で確認できる状態を開業前に作っておくことが重要です。

基準 4

信頼できる先輩開業医・メンターがいる

開業後、院長は孤独になります。スタッフには弱みを見せられない、同業者には経営の悩みを話しにくい——この「孤独」に耐えられず精神的に追い詰められる院長は少なくありません。

開業「前」に、経営の悩みを相談できる先輩開業医やメンターとの関係を作っておくことが、長く経営を続けるための精神的な支えになります。これは年数ではなく、行動次第でいつでも作れます。

基準 5

開業後1〜2年の「厳しい時期」を覚悟できている

開業後の最初の1〜2年は、ほとんどのクリニックで患者数が少なく、収入が不安定な時期があります。この時期に心が折れないためには、「なぜ開業したのか」という原点と、ある程度の生活費の蓄えと、支えてくれる人間関係の3つが必要です。

「開業すれば勤務医より楽になる」という幻想を持ったまま開業すると、現実とのギャップに苦しみます。苦しい時期があることを前提に覚悟を決めている先生は、その時期を乗り越えた後に大きく成長します。

開業準備にかかる期間の目安【タイムライン】

「決断してから開業まで」の一般的なタイムラインをお示しします。物件や地域によって異なりますが、目安としてお使いください。

時期 やること
開業2年前〜 開業前研修・現場見学、総合診療力の習得、開業の理念・ビジョン言語化、資金計画の初期相談
開業1年前〜 物件探し・テナント契約、金融機関への融資申請、内装設計・医療機器選定、スタッフ採用開始
開業半年前〜 行政手続き(保険医療機関申請等)、ホームページ公開、Googleビジネスプロフィール登録、地域挨拶回り
開業3ヶ月前〜 スタッフ研修、内覧会準備、診療システム・電子カルテ導入、近隣医療機関への挨拶
開業当日 開業

このタイムラインを見ると、「開業を決断してから最低でも1〜2年の準備期間が必要」であることがわかります。つまり「3年後に開業したい」なら、今すぐ動き始めるのがちょうど良いタイミングです。

まとめ:「何年目か」より「今から動くか」が大事

今回お伝えした内容をまとめます。

# ポイント 一言まとめ
1 平均は15〜18年目・40代前半 あくまで平均値。30代開業は増加中
2 早期開業には3つの有利な点がある 経営学習期間・融資・Web集患の複利効果
3 タイミングは年数でなく5つの基準で判断 診療力・理念・経営基礎・メンター・覚悟
4 準備期間は最低1〜2年必要 「3年後に開業」なら今すぐ動き始める

「何年目が正解か」という答えは存在しません。ただ、ひとつだけ確かなことがあります。

「いつかやろう」と先延ばしにしている時間は、取り戻せません。情報収集・現場見学・メンターとの出会いは、今日から始められます。まず動いた人だけが、タイミングを自分でつかめるのです。

「まず現場を見てから判断したい」という先生へ

開業前研修・見学で
「成功クリニックのリアル」を体感してください

診療スキル・経営・採用・集患——開業に必要なすべてが動いているクリニックで、実際に見て・聞いて・学べます。週1回からの参加もOKです。

「まだ開業はもう少し先」という先生も、今すぐ役立つ情報をお届けします。

LINEに登録すると限定動画
「失敗しない開業のための採用2つのポイント」を無料プレゼント

LINEで限定動画を受け取る(無料)

最後までご覧いただきありがとうございました。引き続き、若手医師の先生のお役に立てる情報を発信していきます。

あまが台ファミリークリニック 院長 細田俊樹

参考文献

  1. ※1 厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師統計」2022年
  2. ※2 日本医業経営コンサルタント協会「クリニック開業実態調査」2022年
  3. ※3 日本政策金融公庫「新規開業実態調査」2023年
  4. ※4 HubSpot「State of Marketing Report」2023年
  5. ※5 厚生労働省「かかりつけ医機能が発揮される制度整備について」2023年
この記事の監修者
細田 俊樹
  • 医療法人社団緑晴会 あまが台ファミリークリニック 理事長
  • 日本プライマリ・ケア連合学会 家庭医療専門医
  • 日本糖尿病学会正会員、日本睡眠学会所属、日本肥満学会所属

年間15,000人以上の患者さんを診察している総合診療専門医。
総合診療という専門分野を生かし、内科、皮膚科、小児科、生活習慣病まで様々な病気や疾患に対応している。
YouTubeでよくある病気や患者さんの疑問に対して解説している