「将来はクリニックを開業したいけれど、実際にどれくらい患者さんが来れば経営が成り立つのだろう」
「開業資金や売上のシミュレーションは見たことがあるけれど、スタッフ採用や院長自身の働き方まで考えると不安になる」
「勤務医としての診療には自信があるけれど、開業医としてクリニックを運営できるのか、具体的にイメージできない」
これから開業を目指す若手医師の先生であれば、このような不安を感じることがあると思います。
クリニック開業のシミュレーションというと、まず資金計画、家賃、人件費、医療機器、患者数、売上を思い浮かべる先生が多いかもしれません。
もちろん、それらは非常に大切です。
しかし、実際に開業してみると、数字だけでは見えない部分があります。
スタッフをどう採用するのか。患者さんにどう来てもらうのか。診療を何科まで対応するのか。院長がどこまで診療に入り、どこから組織で支えるのか。
この記事では、単なる開業資金の話ではなく、開業前に本当に考えておきたい「現場型のクリニック開業シミュレーション」について、実際のクリニック運営の視点からお伝えします。
目次
- クリニック開業シミュレーション|若手医師が独立前に確認すべき現実
- 実際のクリニック運営で学んできたことをお伝えします
- 開業前研修の実績
- クリニック開業シミュレーションで最初に考えるべきこと
- 開業前にまず考えたい5つの質問
- 売上シミュレーションだけでは足りません
- 患者数のシミュレーションでは、院長の体力も考える
- スタッフ採用のシミュレーションも必須です
- スタッフ採用の入口から整理したい先生へ
- 集患シミュレーションでは「良い医療をしていれば集まる」と考えない
- 診療体制のシミュレーションでは、院長一人で抱え込まない設計にする
- 開業前シミュレーションで見落としやすい項目
- 資金
- 患者数
- スタッフ
- 集患
- 院長の働き方
- 診療範囲
- 「シミュレーションは税理士や開業支援会社に任せればよいのでは?」という疑問について
- 開業前研修で、現場のシミュレーションをしておく意味
- まとめ
- 開業前に、数字だけでは見えない現場を確認しませんか?
クリニック開業シミュレーション|若手医師が独立前に確認すべき現実

皆さん、こんにちは。あまが台ファミリークリニック院長の細田です。
私は家庭医療専門医として、地域医療の最前線で25年、内科・小児科・皮膚科・糖尿病内科などを幅広く診療してきました。
クリニック開業を考える時、多くの先生は「どれくらい売上があれば成り立つか」「何人患者さんが来ればよいか」「借入はいくら必要か」といった数字から考えると思います。
もちろん、数字のシミュレーションは避けて通れません。
ただ、数字だけで開業を判断すると、開業後に思わぬところで苦労することがあります。
なぜなら、クリニック経営は、売上だけでなく、スタッフ採用、診療体制、集患、患者対応、院長の体力、組織づくりがすべてつながっているからです。
実際のクリニック運営で学んできたことをお伝えします
私は2019年9月に、千葉県長生郡長生村であまが台ファミリークリニックを開業しました。
開業からもうすぐ7年になり、現在は年間約2.5万人の患者さんを診察しています。
クリニック運営は、院長一人の力だけで成り立つものではありません。
現在は、非常勤医師5名、看護師4名、管理栄養士5名、医療事務2名、クリーンスタッフ1名、採用秘書担当1名、外部コンサルタントの教育係2名とともに、日々の診療と組織づくりに取り組んでいます。
だからこそ、この記事でお伝えする内容は、理論だけの話ではありません。
実際に採用し、教育し、スタッフと向き合い、悩みながらクリニックを運営してきた中で大切だと感じていることです。

開業前研修の実績
現在、当院で研修を受けた3名の先生が、それぞれご自身のクリニックを開業し、地域医療の現場で活躍されています。

また、現在も2名の医師が当院で研修を行い、外来診療、クリニック経営、集患、スタッフ採用、組織づくりについて、実際の現場を通して学んでいます。

開業前研修では、単に知識をお伝えするだけではありません。将来、自分のクリニックを開業した時に、患者さんに選ばれ、スタッフと信頼関係を築き、地域で長く続けられる医療機関をつくるための考え方と実践を共有しています。
クリニック開業シミュレーションで最初に考えるべきこと
開業前のシミュレーションで最初に考えるべきことは、「自分はどんなクリニックを作りたいのか」です。
ここが曖昧なまま、物件、内装、医療機器、広告、スタッフ数を決めてしまうと、後から全体の整合性が崩れます。
たとえば、生活習慣病を中心に診たいのか。小児科や皮膚科も幅広く診たいのか。専門特化型にするのか。総合診療型にするのか。
これによって、必要なスタッフ、診察室の数、検査機器、Web戦略、予約システム、教育体制は変わります。
開業は、建物を作ることではありません。
将来、自分がどのような医療を地域に提供し、どのようなチームで患者さんを支えていくのかを形にすることです。
開業前にまず考えたい5つの質問
- どの診療科目を中心にするのか
- 1日に何人くらいの患者さんを診たいのか
- 院長一人で診るのか、複数医師体制を目指すのか
- スタッフにどこまで役割を任せるのか
- 開業後、自分が疲弊しない働き方になっているか

売上シミュレーションだけでは足りません
クリニック開業のシミュレーションでは、よく「1日何人診れば黒字になるか」という話が出ます。
これは非常に大切です。
ただし、患者数だけで考えると危険です。
なぜなら、同じ1日80人の患者さんでも、診療内容、診療単価、スタッフ体制、検査体制、予約の組み方によって、院長の負担は大きく変わるからです。
たとえば、急性疾患中心なのか、慢性疾患中心なのか。生活習慣病の継続管理が多いのか、小児や皮膚科の短時間診療が多いのか。検査や栄養指導まで組み込むのか。
数字の上では同じ患者数でも、現場の負荷はまったく違います。
そのため、開業前には「患者数」だけでなく、「どんな患者さんを、どのような診療体制で診るのか」までシミュレーションする必要があります。
まずお話すると、そんなの最初からわからないし、最低限のスタッフで始めたいと思っているという方いると思うんですけど、その気持ちすごくよくわかりますし、そういった始め方も現実的で良いと思います。
例えば最初は院長一人で始めて看護師二人、医療事務四人とした場合に、スタッフそれぞれの給与も高めに設定します。また、患者さんの診療単価も一番安く設定して、一ヶ月二十日間で診療した場合に、売上がどれくらいで人件費がどれくらいで、最終的に手元に残るお金はどれくらいなのか、つまり院長の生活費がはじき出されます。
医療法人になった場合とそうでない場合はまた計算の仕方も変わってはきますが、厳し目厳し目に、つまりスタッフもやや多めに雇い、さらにスタッフの賃金も高めに設定し、診療単価は低く設定する。これであれば損益分岐点、つまり黒字と赤字が分かれる部分の正確な判断が来ることは少ないと思います。
患者数のシミュレーションでは、院長の体力も考える
開業前は、「たくさん患者さんが来てくれたら安心」と考えがちです。
もちろん、患者さんが来なければ経営は成り立ちません。しかし、患者さんが増えれば増えるほど、院長の負担も増えます。
1日50人、70人、90人、100人。
数字だけ見ると増患は良いことのように見えます。
しかし、スタッフ体制や予約管理、診療導線が整っていない状態で患者数だけが増えると、待ち時間が長くなり、スタッフも疲弊し、院長も余裕を失います。
開業前に考えるべきなのは、「最大で何人診られるか」だけではありません。
「長く続けるために、何人までなら安全に、丁寧に、疲弊しすぎず診られるか」です。
開業医にとって大切なのは、一時的に頑張りすぎることではなく、地域で長く医療を続けられる体制を作ることだと考えています。
スタッフ採用のシミュレーションも必須です
開業前のシミュレーションで見落とされやすいのが、スタッフ採用です。
「受付は何人必要か」「看護師は何人必要か」という人数の話だけでは不十分です。本当に大切なのは、どのような人を採用し、どのように育て、どのようにチームとして機能してもらうかです。
クリニックは少人数の組織です。そのため、一人のスタッフの影響がとても大きくなります。
患者さんに丁寧に接する人か。スタッフ同士で協力できる人か。忙しい時に不機嫌をまき散らさない人か。素直に学び続けられる人か。 
こうした採用基準を開業前に考えておくことは、後々の組織づくりに大きく影響します。
スタッフ採用の入口から整理したい先生へ
開業前に「どんな人を採用すればよいのか」「面接で何を見ればよいのか」と悩む先生は多いと思います。
LINE登録者限定で「スタッフ採用で失敗しないために大切な2つのポイント」という動画をご用意しています。採用の入口から整理したい先生は、まずこちらをご覧ください。
集患シミュレーションでは「良い医療をしていれば集まる」と考えない
開業前の先生にお伝えしたいのは、良い医療をしていれば自然に患者さんが集まる、とは考えない方がよいということです。
良い医療は大前提です。
しかし、地域の患者さんに存在を知ってもらえなければ、来院にはつながりません。
Webサイト、Googleビジネスプロフィール、ブログ、YouTube、口コミ、紹介、地域での認知。
こうした集患の導線を、開業前から考えておく必要があります。
そして、集患は単に患者さんを集めることではありません。
自分のクリニックがどのような医療を大切にしているのか、どのような患者さんに来てほしいのかを、正しく伝える活動です。
診療体制のシミュレーションでは、院長一人で抱え込まない設計にする
開業直後は、院長が何でも自分でやろうとしてしまいがちです。
しかし、診療、経営、採用、スタッフ教育、集患、患者対応をすべて院長一人で抱え込むと、長期的にはかなりしんどくなります。
ですので、開業前の段階から「誰に何を任せるのか」をシミュレーションしておくことが大切です。
看護師に任せること。医療事務に任せること。管理栄養士に任せること。外部専門家に相談すること。非常勤医師と協力すること。
こうした役割分担を考えておくことで、院長自身が診療と経営の両方を冷静に見られるようになります。
開業医は、医師であると同時に、組織の責任者です。
だからこそ、自分一人で頑張るシミュレーションではなく、チームで運営するシミュレーションをしておく必要があります。
開業前シミュレーションで見落としやすい項目
ここまでお伝えしたように、クリニック開業シミュレーションは、単なる資金計画ではありません。
実際には、次のような項目を開業前に考えておく必要があります。
資金
開業資金、借入、家賃、人件費、医療機器、広告費を現実的に見積もる。
患者数
何人来れば黒字かだけでなく、何人までなら安全に診られるかを考える。
スタッフ
人数だけでなく、採用基準、教育、定着、チームづくりまで考える。
集患
Web、Google、ブログ、YouTube、口コミ、紹介の導線を設計する。
院長の働き方
診療、経営、教育をすべて抱え込まない仕組みを考える。
診療範囲
自分が診られる範囲、学ぶべき範囲、外部連携が必要な範囲を整理する。
「シミュレーションは税理士や開業支援会社に任せればよいのでは?」という疑問について
ここまで読むと、先生の中にはこう感じる方もいるかもしれません。
「開業シミュレーションは、税理士や開業支援会社に任せればよいのではないか」
その考えも、もちろん大切です。
資金計画、借入、収支予測、物件選定、医療機器の見積もりなどは、専門家の力を借りるべきです。
ただし、専門家が作る数字のシミュレーションだけでは、開業後の現場の疲弊感や、スタッフとの関係性、患者さんの流れ、院長の働き方までは見えにくいことがあります。
開業前に本当に必要なのは、数字のシミュレーションと現場のシミュレーションの両方です。
収支の数字を見ること。そして、実際に外来がどう流れるのか、スタッフがどう動くのか、患者さんがどう来院するのか、院長がどこで疲れるのかを想像すること。
この両方を行うことで、開業後の解像度が上がります。
開業前研修で、現場のシミュレーションをしておく意味
本やセミナーで学べることはたくさんあります。
しかし、実際のクリニックの空気は、現場で見ないと分かりにくい部分があります。
- 朝のスタッフの動き
- 患者さんが増えた時の受付の混み方
- 医師と看護師、医療事務の連携
- 患者さんへの声かけ
- 院長がどの場面で判断しているのか
- スタッフ採用や教育の考え方
- 診療後にどのように改善を積み重ねているのか
これらを見ることで、自分が開業した時のイメージがかなり具体的になります。
開業前研修は、単に「診療を見学する場」ではありません。
将来、自分が院長としてどのような判断をし、どのような組織を作り、どのように地域で選ばれるクリニックを作るのかを考える場です。

まとめ
クリニック開業シミュレーションは、資金計画だけでは不十分です。
もちろん、売上、患者数、借入、家賃、人件費、医療機器の見積もりは大切です。
しかし、それだけでは開業後の現実は見えません。
本当に大切なのは、数字と現場の両方をシミュレーションすることです。
- どんな医療を提供するのか
- どんな患者さんに来てほしいのか
- 何人までなら安全に診られるのか
- どんなスタッフを採用し、どう育てるのか
- どのように集患するのか
- 院長自身が疲弊しない仕組みをどう作るのか
開業前にこれらを考えておくことで、開業後の不安を減らし、より現実的な準備ができるようになります。
これから開業を考えている先生は、ぜひ数字だけでなく、実際の現場まで含めたシミュレーションをしてみてください。
開業前に、数字だけでは見えない現場を確認しませんか?
あまが台ファミリークリニックでは、開業を目指す若手医師の先生に向けて、外来診療、クリニック経営、集患、スタッフ採用、組織づくりを学べる開業前研修を行っています。
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無理な勧誘はありません。まずは先生ご自身の目で、診療・採用・組織づくりの現場をご確認ください。
