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【東京/千葉の開業医向け】採用面接で失敗しない質問3選|現役院長が解説

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【東京/千葉からも参加者続々】開業医が語る『スタッフ採用面接』での魔法の質問3つ
〜失敗しない院長の眼力養成講座〜

現在、当院の「開業前研修プログラム」には、東京や千葉市周辺から4名の熱意ある先生方が、遠方にもかかわらず日々熱心に通われています。

都心から車で1時間以上かかるこの千葉県長生郡のクリニックに、なぜ先生方が集まるのか?それは、多くの開業医が直面する「経営の壁」を、リスクなく乗り越えるための『生きた知恵』を求めているからです。

今回はその一例として、クリニック経営の根幹を揺るがしかねない「スタッフ採用」について、私が実践している具体的な面接ノウハウをお話しします。

クリニックの成功は、院長であるあなたの腕だけでは決まりません。むしろ、「どんなスタッフに囲まれて仕事をするか」が、日々の診療の質、患者満足度、そして院長の精神的安定を大きく左右すると言っても過言ではないでしょう。

しかし、多くの開業医が「採用の失敗」を経験します。
経歴やスキルは履歴書で分かります。面接で確認すべきは、その人の「本質」と「再現性のある能力」です。

質問1:「失敗談を聞く」ことで、未来の成長力を見る

よくある質問: 「あなたの長所と短所を教えてください」
(→用意された模範解答しか返ってこず、本質は見えません)

魔法の質問:
「これまでの仕事で経験した、あなたにとっての最大の失敗は何ですか?そして、その失敗から何を学び、次にどう活かしましたか?」

「待ってください。そんな重い質問、初対面の応募者に聞いたら引いてしまいませんか?それに、口がうまい人なら、うまく取り繕って話せるのでは?」

おっしゃる通りです。確かに、この質問は応募者を萎縮させてしまうリスクがありますし、「口がうまいだけの応募者」をかえって評価してしまう危険性もゼロではありません。そのご懸念は、非常によく分かります。

しかし、この質問の真の目的は『完璧な回答』を聞くことではないのです。
むしろ、答えに詰まったり、しどろもどろになったりしながらも、一生懸命に自分の過去と向き合い、誠実に伝えようとする『姿勢』そのものに、その人の本質が表れます。

大切なのは、失敗を他責にせず、そこから何を学び取ったかを自分の言葉で語れるか。このプロセスを通じて、私たちは「学習能力」「誠実さ」といった、履歴書からは決して読み取れない、困難な状況でも成長できる「自走できる人材」の素養を見抜くことができるのです。*1

質問2:「やりがいを聞く」ことで、価値観のマッチ度を測る

よくある質問: 「やる気はありますか?」「当院で頑張れますか?」
(→「はい、頑張ります!」という言葉に、何の担保もありません)

魔法の質問:
「あなたが仕事において『楽しい』『やりがいがある』と感じるのは、どんな瞬間ですか?具体的なエピソードを交えて教えてください」

「『患者さんの笑顔がやりがいです』なんて、誰でも言えるきれいごとではないですか?そんな抽象的な答えで、本当にその人のことが分かりますか?」

ごもっともな指摘です。確かに「患者さんの笑顔」は、医療従事者なら誰もが口にする、ある意味で“正解”の回答です。その言葉だけを鵜呑みにするのは危険でしょう。

だからこそ、この質問では『具体的なエピソードを交えて』という部分が生命線になります。
「患者さんの笑顔がやりがい」で終わる人と、「以前、〇〇という状況の患者さんに対し、△△という工夫をした結果、”あなたのおかげで安心できた”と言っていただけた瞬間、この仕事の喜びを実感しました」と語れる人とでは、天と地ほどの差があります。

その人だけの「オリジナルストーリー」にこそ、モチベーションの源泉や、当院の理念と合う「価値観」が隠されています。私たちは、その解像度の高さを見ているのです。個人の価値観と組織の文化が適合していること(P-Oフィット)は、職務満足度を高め、離職率を下げることが多くの研究で示されています。*2

質問3:「貢献の意志を聞く」ことで、当事者意識を見極める

よくある質問: (面接の最後に)「何か質問はありますか?」→「特にありません」→終了
(→応募者の意欲を測る絶好の機会を逃しています)

魔法の質問:
「最後に、もし当院で採用となった場合、あなたはご自身のどんなスキルや経験を活かして、具体的にどのように貢献できるとお考えですか?」

「まだ採用されてもいないのに、貢献できることなんて言えるわけがない。少しプレッシャーを与えすぎではないでしょうか?」

そう思われるのも無理はありません。内部の事情も知らないのに「どう貢献できるか」と問うのは、少し意地悪な質問に聞こえるかもしれません。

ですが、この質問で求めているのは、壮大な事業計画ではありません。
見ているのは、応募者が「当院のことをどれだけ自分事として考えてくれているか」、その視点です。「ホームページを拝見し、〇〇に力を入れていると知りました。私の前職での△△の経験は、その分野で少しはお役に立てるかもしれません」といった、ささやかでも具体的な接点を見つけ出そうとする姿勢があるか。

その「当事者意識」こそ、院長の良きパートナーとして、受け身ではなく主体的に働いてくれる人材であることの証左なのです。これは、職務内容以上の自発的な貢献行動を指す「組織市民行動」の源泉とも言えます。*3


あなたの「眼力」を、実践で磨きませんか?

いかがでしたでしょうか。
このように、面接とは単なる問答ではなく、応募者との心理的な駆け引きや、深い対話の技術が求められる場です。そして、ここに挙げたのは、採用ノウハウのほんの入り口に過ぎません。

実際のクリニック経営では、

  • 採用後のオンボーディング(受け入れ研修)はどう設計するか?
  • 評価制度や賃金テーブルはどう作るか?
  • 問題のあるスタッフへの指導や、最悪の場合の退職勧奨はどう進めるか?

など、教科書には載っていない、生々しく、しかし避けては通れない課題が山積みです。

現に、東京や千葉から参加されている4名の先生方も、あなたと同じように未来への期待と大きな不安を抱え、当院の門を叩きました。

これらの「生きた経営術」は、断片的な情報収集で身につくものではありません。
実際に給与を得て生活の安定を確保しながら、リスクなく、経験豊富な院長の側でリアルな経営・マネジメントを1年間みっちり学ぶ。
そんな「開業前のための最高の予行演習」ができる場所があるとしたら、あなたの開業後の成功確率はどれだけ高まるでしょうか?

当院の「統合医療と総合診療を学ぶ 開業前研修プログラム」は、まさにそのためのプラットフォームです。
診療スキルを磨きながら、採用、労務、集患マーケティング、資金繰りといった、クリニック経営のすべてを実践的に学べます。

ご自身の未来への、最も賢い投資です。
もし、今日の記事を読んで「もっと深く学びたい」「自分の目で確かめたい」と感じていただけたなら、ぜひ一度、下記のサイトから詳細をご覧ください。

あなたのその高い志と学習意欲を、私たちは心から歓迎します。

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参考文献

  • *1 Latham, G. P., & Saari, L. M. (1984). Do people do what they say? Further studies on the situational interview. Journal of Applied Psychology, 69(4), 569–573. (※過去の行動事例を聞くことで未来の行動を予測する「行動面接」の有効性を示す研究)
  • *2 Kristof-Brown, A. L., Zimmerman, R. D., & Johnson, E. C. (2005). CONSEQUENCES OF INDIVIDUALS’FIT AT WORK: A META-ANALYSIS OF PERSON–JOB, PERSON–ORGANIZATION, PERSON–GROUP, AND PERSON–SUPERVISOR FIT. Personnel Psychology, 58(2), 281-342. (※個人と組織の価値観の適合が、職務満足度向上と離職率低下につながることを示したメタ分析)
  • *3 Organ, D. W. (1988). Organizational citizenship behavior: The good soldier syndrome. Lexington Books/DC Heath and Com. (※職務規定以上の自発的貢献行動である「組織市民行動」の重要性を提唱した研究)
この記事の監修者
細田 俊樹
  • 医療法人社団緑晴会 あまが台ファミリークリニック 理事長
  • 日本プライマリ・ケア連合学会 家庭医療専門医

年間15,000人以上の患者さんを診察している総合診療専門医。
総合診療という専門分野を生かし、内科、皮膚科、小児科、生活習慣病まで様々な病気や疾患に対応している。
YouTubeでよくある病気や患者さんの疑問に対して解説している

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