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「開業準備で何から始めるべき?25,000人以上診てきた院長がまとめた“やるべきことリスト”」

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開業準備で何から始めるべき?25,000人以上診てきた院長がまとめた“やるべきことリスト”

開業を考え始めたとき、多くの先生がまず感じるのは「一体どこから手をつければいいんだろう…」という戸惑いです。

開業は医師として新しい挑戦ですが、普段の診療とはまったく別の“経営の仕事”も関わってきます。

「場所は? 設計は? スタッフは? 小児科や皮膚科も診られるようにすべき? 経営って何をするの?」

と、考えるほど霧がかかっていき、不安になるのは当然です。

実際、これまで私のもとには、開業前の不安を抱える多くの先生が相談に来られました。
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私自身、千葉県で開業して7年、年間のべ26,000人以上(実患者25,000人以上)が来院するクリニックを運営してきましたが、開業前は皆さんと同じように「何から始めていいのか分からない」という状態でした。

そこで今回は、7年間の開業経験と、総合診療・家庭医療専門医としての視点、さらに年間6,000人以上の糖尿病患者さんを診察してきた実績を踏まえ、「開業準備で必ず押さえるべき項目」をわかりやすくまとめました。

まず始めるべきは“開業の目的”を決めること

開業準備の相談でよくあるのが、いきなり「場所探し」や「医療機器の選定」から始めてしまうケースです。もちろん大事ですが、もっと大切な最初の一歩があります。

それは、「なぜ自分は開業するのか?」を言葉にすることです。

例えば、

  • 地域の子どもから高齢者まで診られるクリニックを作りたい
  • 糖尿病・生活習慣病を専門的に診られる場所を作りたい
  • 働きやすく、辞めにくい組織を作りたい

目的が明確になると、その後の意思決定が圧倒的に楽になります。

よくある不安:「自分に総合診療なんてできるのか?」

開業を考える先生の多くが「内科だけで十分だろうか」「小児科や皮膚科は難しいのでは」と感じています。これは自然な反応です。

しかし実際には、開業後に最も求められるのは“専門医としての深さ”ではなく“幅広さ”です。

小児の発熱、皮膚の湿疹、生活習慣病、花粉症、風邪、喘息、胃腸炎…。これらを1つのクリニックで解決できると、患者さんの満足度は飛躍的に上がります。

私自身、地域で開業してからよく感じたことがあります。

それは、例えば高血圧で通院している患者さんが「夜も眠れないほどかゆい」と相談してきたとき、内科と皮膚科を分けずにまとめて診られる便利さです。

さらに、自分の診察と同じ日にお子さんの風邪も診察できると、「本当に助かります」と心から喜んでいただけます。

こうした“一家まるごと診られるクリニック”は、他の医療機関との差別化にもつながります。

皮膚科に関していえば、日常外来の多くが上位20疾患で構成されると報告されており(※1)、パターンを押さえることで安全に診療できます。

小児科も同様に、典型的な症例と初期対応を理解することで十分に対応できるようになります。

やるべきことリスト①:診療コンセプトを固める

  • どの年齢層を診るか(0歳〜高齢者までか)
  • 内科のみか、総合診療型か
  • 生活習慣病を中心にするか
  • オンライン診療は導入するか
  • 管理栄養士や看護師とのチーム医療を重視するか

ここを決めると、場所・スタッフ採用・内装・機器選定まで一気に決めやすくなります。

やるべきことリスト②:エリア分析(人口・競合・導線)

特に重要なのは「人が自然と集まる動線」に位置しているかどうか。

開業地の成功は、戦略の半分以上を占めると言われています。(※2)

ポイントは以下の通りです。

  • 駅・スーパー・学校・大型道路に近いか
  • 駐車場は十分確保できるか
  • 同じ診療科の競合が多すぎないか
  • 逆に足りていない診療科は何か

例えば当院では、地域に小児科が少なかったことで、0歳〜中学生の来院が自然に増え、家族ぐるみの受診につながりました。

やるべきことリスト③:動線・オペレーション設計

開業後の満足度は“診療以外の体験”によって決まります。

  • 受付〜診察〜会計までの待ち時間をどう短縮するか
  • 予約システムは何を使うか
  • スタッフの動きが重ならない動線か
  • ワクチン・健診・急性疾患をどう分離するか

私は開業後すぐ、動線の改善に時間を使いました。

動線は本当に大切で、患者さん1人当たりの時間が10秒短縮されたとしましょう。

1日100に来院されたら1000秒短縮です。1000秒は分に換算すると、16分程度です。

1ヶ月で20日間診療したら、333分程度。

年間で3999分節約され時間で換算すると、240時間にもなります。この時間で様々なことができますよね。

たとえば、じっくり問診ができますし、スタッフ研修会もできます。

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やるべきことリスト④:スタッフ採用・新人教育・評価制度

開業後に最も困るのは「人」です。

せっかく採用しても辞めてしまう、教育に時間がかかる、雰囲気が悪くなる……。これらは仕組みがないことが原因です。

  • 採用基準を明確にする
  • 新人研修のマニュアルを作る
  • 毎月の振り返り面談を行う
  • 目標設定・評価制度で成長をサポートする

当院でも、外部コンサルタントと月1回の勉強会を行い、成長し続けるチームづくりを行っています。

やるべきことリスト⑤:開業後3年間のロードマップを描く

開業は「開けたら終わり」ではありません。むしろ、そこからがスタートです。

最初の3年をどうコントロールするかで、その後の成長カーブは決まります。

  • 初年度の患者数の予測
  • 2年目のスタッフ増員計画
  • 3年目の経営改善と診療幅の拡大
  • オンライン診療・訪問診療をどう扱うか

開業前にロードマップを作っておくと、忙しくなった後も迷わず行動できます。

 

最後に:開業は一人で背負う必要はありません

開業準備は、最初こそ不安が多く、どこから始めていいか迷いがちです。でも、その気持ちは誰もが経験するものです。

そして、その不安を解消する最も確実な方法は、実際に現場で学び、開業の流れを見て体験することです。

当院の開業前研修では、これらの「やるべきことリスト」を、実際の診療・運営を見ながら学べるように設計しています。

もし今、

  • 開業に興味はあるけれど自信がない
  • 内科以外の診療にも対応できるようになりたい
  • スタッフ採用や経営を開業前から学びたい

 

と感じられている先生は、一度こちらをご覧ください。
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参考文献

  1. 日本皮膚科学会:外来でよくみられる皮膚疾患の頻度に関する報告 ※1
  2. 厚生労働省:医療計画と地域医療構想に関する資料(医療需要の予測) ※2
この記事の監修者
細田 俊樹
  • 医療法人社団緑晴会 あまが台ファミリークリニック 理事長
  • 日本プライマリ・ケア連合学会 家庭医療専門医
  • 日本糖尿病学会正会員、日本睡眠学会所属

年間15,000人以上の患者さんを診察している総合診療専門医。
総合診療という専門分野を生かし、内科、皮膚科、小児科、生活習慣病まで様々な病気や疾患に対応している。
YouTubeでよくある病気や患者さんの疑問に対して解説している

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