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クリニック採用で見るべき人柄と面接ポイント|開業医が大切にしたい採用基準

「スタッフ採用では、人柄が大事だと聞くけれど、結局どこを見ればよいのだろう」
「面接で感じが良い人を採用したら、本当にクリニックでうまく働いてくれるのだろうか」
「スキルや経験を重視すべきか、人柄を重視すべきか、判断に迷っている」

クリニック開業を考えている若手医師の先生であれば、このような不安を感じることがあると思います。

前回の記事では、クリニック開業においてスタッフ採用を軽く考えると、開業後に大きな負担になることをお伝えしました。

今回はその続きとして、私がスタッフ採用で最も大切にしている「人柄」について、もう少し具体的にお話しします。

ただし、「人柄が大事です」と言うだけでは、あまりにも抽象的です。

人柄とは何か。人間力とは何か。面接で何を見ればよいのか。

この記事では、開業医としてスタッフ採用を考える時に、私が最も大切にしている「患者さんに信頼され、スタッフからも一緒に働きたいと思われる人かどうか」という視点について、実際のクリニック運営の立場からお伝えします。

クリニック採用で見るべき人柄と面接ポイント|開業医が大切にしたい採用基準

皆さん、こんにちは。あまが台ファミリークリニック院長の細田です。

私は家庭医療専門医として、地域医療の最前線で25年、内科・小児科・皮膚科・糖尿病内科などを幅広く診療してきました。(日本糖尿病学会正会員、日本プライマリケア連合学会 家庭医療専門医、日本睡眠学会所属、日本肥満学会所属)

クリニックを運営していると、診療力だけではクリニックは成り立たないということを日々実感します。

患者さんが受付でどう迎えられるか。看護師や医療事務がどのような表情で患者さんに接するか。忙しい時にスタッフ同士が助け合えるか。

こうした一つ一つが、クリニック全体の雰囲気を作ります。だからこそ、スタッフ採用は単に「資格がある人」「経験がある人」を採る作業ではありません。

クリニックの文化を一緒につくる人を選ぶ、非常に重要な経営判断です。

開業前研修の実績

現在、当院で研修を受けた3名の先生が、それぞれご自身のクリニックを開業し、地域医療の現場で活躍されています。

また、現在も2名の医師が当院で研修を行い、外来診療、クリニック経営、集患、スタッフ採用、組織づくりについて、実際の現場を通して学んでいます。

開業前研修では、単に知識をお伝えするだけではありません。将来、自分のクリニックを開業した時に、患者さんに選ばれ、スタッフと信頼関係を築き、地域で長く続けられる医療機関をつくるための考え方と実践を共有しています。

開業された3名の医師

私が採用で最も大切にしているのは「好かれる力」です

私がスタッフ採用で最も大切にしていることを一言で表すなら、「好かれる力」です。

こう言うと、少し誤解されるかもしれません。

「好かれる人」と聞くと、ただ愛想が良い人、誰にでも調子よく合わせる人、院長に従順な人を想像する先生もいるかもしれません。

しかし、私が言う「好かれる力」は、そういう意味ではありません。

私が採用で見ているのは、患者さんに安心感を与えられるか、スタッフから一緒に働きたいと思われるか、忙しい時でも周囲を不快にしないか、ということです。

つまり、媚びる力ではなく、信頼される力です。

クリニックは少人数の組織です。大病院と違って、一人のスタッフの言葉づかい、表情、態度、感情の波が、職場全体の空気に大きく影響します。

そのため、私は採用の時に「この人は患者さんに好かれそうか」「この人はスタッフから一緒に働きたいと思われそうか」をかなり大切に見ています。

「人柄が良い」とは、具体的にどういうことか

「人柄が良い人を採用したい」と言うのは簡単です。

しかし、実際の面接では、人柄を感覚だけで判断すると危険です。

なんとなく感じが良い。
面接でよく笑っていた。
受け答えが丁寧だった。

もちろん、それも大切な情報です。

ただ、それだけで採用を決めると、開業後にミスマッチが起きることがあります。

私は「人柄が良い」を、次の5つに分解して考えています。

1. 患者さんに安心感を与えられる

医療機関では、説明の内容だけでなく、声のトーン、表情、言葉づかいが患者さんの安心感につながります。

2. スタッフから一緒に働きたいと思われる

仕事ができても、周囲を不快にする人がいると、少人数のクリニックではチーム全体が疲弊します。

3. 忙しい時に不機嫌をまき散らさない

外来では予想外のことが起こります。忙しい時ほど、その人の本当の安定感が表れます。

4. 素直に学び、改善できる

開業直後は仕組みが変わり続けます。分からないことを認め、学び直せる姿勢はとても重要です。

5. 自分の役割だけでなく周囲を見られる

クリニックでは職種ごとの役割はありますが、困っている人に気づき、助け合える姿勢が職場を支えます。

スキルが高くても、周囲を不快にする人は採用リスクになります

採用では、つい経験やスキルに目が向きます。

採血ができる。
レセプト経験がある。
電子カルテに慣れている。
小児科や皮膚科の経験がある。

これらは確かに大きな強みです。

しかし、スキルが高い人が、必ずしも良いスタッフになるとは限りません。

たとえば、仕事は早いけれど、周囲にきつい言い方をする人がいるとします。

患者さんには丁寧でも、スタッフには不機嫌な態度を取る人がいるとします。

院長の前では感じが良いけれど、忙しくなると周囲に圧をかける人がいるとします。

このような場合、短期的には仕事が回るかもしれません。

しかし長期的には、他のスタッフが疲弊し、職場の雰囲気が悪くなり、結果として患者さんへの対応にも影響します。

クリニックは、少人数のチームです。一人の強い不機嫌、一人の強い攻撃性、一人の協調性のなさが、全体の空気を変えてしまいます。

だから私は、スキルだけで採用を決めることはしません。スキルは教えられる部分があります。

しかし、人への向き合い方、周囲への配慮、忙しい時の態度は、クリニック文化に大きく影響します。

私が採用で避けたいと考えている人

  • 周囲に強い不機嫌を出してしまう人
  • 患者さんには丁寧でも、スタッフへの態度が強い人
  • 自分の仕事だけを守り、周囲を見ようとしない人
  • 注意やフィードバックを受け止めにくい人
  • 前職や周囲への不満だけを強く話す人

面接で人柄を見る時に、私が意識しているポイント

では、実際の面接で人柄をどう見ればよいのでしょうか。

もちろん、短い面接だけですべてが分かるわけではありません。

私も、面接で相手のすべてを見抜けるとは思っていません。ただし、面接の中で「その人の考え方の癖」は少し見えてきます。

私が特に意識しているのは、次のような点です。

1. 前職の話し方を見る

前職の退職理由を聞いた時に、すべてを前職や周囲のせいにしていないかを見ます。

もちろん、前職でつらい経験をしている方もいます。

人間関係や職場環境で悩んで転職すること自体は、決して悪いことではありません。

ただ、どんな話し方をするかは重要です。不満だけを強く話すのか。

自分にも改善できる点があったと振り返れるのか。

次の職場ではどう働きたいのかを前向きに話せるのか。

ここに、その人の受け止め方や成熟度が出ることがあります。

2. 患者さん対応の具体例を聞く

「患者さんに丁寧に対応できますか」と聞けば、多くの人は「できます」と答えます。

だから私は、できるだけ具体例を聞くようにしています。

たとえば、これまで患者さんに喜ばれた経験、対応に困った患者さんとの関わり、クレームや不安が強い患者さんにどう接したかなどです。

その時に、相手の立場に立って考えられているか。
患者さんを責める表現ばかりになっていないか。
自分なりに工夫した点を話せるか。

こうした部分に、患者さんへの姿勢が表れます。

3. 忙しい時の自分の課題を言語化できるか

クリニックの外来は、いつも穏やかに進むわけではありません。

予約が重なる日もあります。

発熱の患者さんが増える日もあります。

急な検査や処置が入ることもあります。

だからこそ、忙しい時に自分がどうなりやすいかを理解している人は強いです。

「忙しい時に焦りやすいので、確認を声に出すようにしています」

「余裕がなくなると表情が硬くなりやすいので、意識して返事をするようにしています」

このように、自分の課題を言語化できる人は、改善できる可能性があります。

4. 分からないことを素直に聞けるか

開業直後や新しい職場では、分からないことがあって当然です。大切なのは、分からないことを隠さずに確認できるかどうかです。

クリニックでは、確認不足が患者さん対応や安全面に影響することがあります。

そのため、「分からない時にどうしていますか」「初めての業務を覚える時に、どのように確認しますか」といった質問をすることがあります。

素直に聞ける人、メモを取れる人、確認を面倒がらない人は、時間をかけて成長しやすいと感じています。

5. チームで働いた経験をどう話すか

クリニックは、医師一人で成り立つものではありません。

受付、看護師、医療事務、管理栄養士、診療補助スタッフが連携して初めて、患者さんに良い医療を提供できます。

そのため、面接ではチームで働いた経験を聞くことも大切です。

自分の成果だけを話すのか。

周囲とどう協力したかを話せるのか。

誰かに助けてもらった経験を自然に話せるのか。

こうした部分に、その人の協調性が見えてきます。

スタッフ採用の考え方を、まずは記事と動画で整理したい先生へ

前回の記事では、クリニック開業でスタッフ採用を軽く考えると、開業後に大きな負担になりやすいことをお伝えしました。

スタッフ採用の全体像を整理したい先生は、まず前回の記事もあわせてご覧ください。

まだ見学までは早いと感じる先生は、まず記事と動画で採用の考え方を整理してみてください。

面接だけで見えない部分は、体験入職や現場で確認する

面接は大切です。しかし、面接だけでその人のすべてを判断することはできません。

面接では丁寧に話せても、実際の現場に入ると、別の面が見えることがあります。

だからこそ、可能であれば体験入職や見学、短時間の現場確認を取り入れることも大切です。

体験入職で見るべきなのは、完璧に仕事ができるかどうかではありません。

初めての環境で、どのように周囲と関わるかです。

体験入職や現場確認で見るポイント

  • 挨拶が自然にできるか
  • スタッフへの質問の仕方が丁寧か
  • 分からないことを確認できるか
  • 患者さんへの距離感が適切か
  • 手が空いた時に周囲を見ようとするか
  • 注意された時に極端に反発したり落ち込みすぎたりしないか

もちろん、体験入職で緊張するのは当然です。
初日から完璧に動ける必要はありません。ただ、緊張している中でも、その人の挨拶、返事、確認の仕方、周囲への配慮は見えてきます。

私は、採用において「この人は一緒に働くスタッフに安心感を与えられるか」を大切にしています。

「人柄よりスキルが大事では?」という疑問について

ここまで読むと、先生の中にはこう感じる方もいるかもしれません。

「人柄が大事なのは分かるけれど、開業直後は即戦力の方が大事ではないですか」

その気持ちはとてもよく分かります。

開業直後は、院長自身にも余裕がありません。できるだけ早く仕事を覚えてくれる人、経験がある人、即戦力になりそうな人を採用したくなるのは自然です。

しかし、私は「スキルか人柄か」という二択では考えていません。

もちろん、スキルは大切です。

ただ、少人数のクリニックでは、人柄やチーム適性が低いままスキルだけが高い人を採用すると、かえって組織全体が不安定になることがあります。

逆に、基本的な素直さ、患者さんへの姿勢、周囲と協力する力がある人は、時間をかけて成長していく可能性があります。

だから私は、採用ではスキルと同時に「この人は患者さんとスタッフに信頼される人か」を必ず見るようにしています。

採用基準を明確にすると、院長自身も迷いにくくなります

開業前に採用基準を明確にしておくことは、応募者のためだけではありません。

院長自身を守ることにもつながります。採用基準が曖昧だと、面接の印象や一時的な人手不足に流されやすくなります。

「今すぐ人が足りないから」

「経験があるから」

「条件が合うから」

そのような理由だけで採用を決めると、あとで苦労することがあります。逆に、採用で見るポイントを事前に整理しておくと、迷った時に立ち戻る基準ができます。

私にとって、その大きな基準が「患者さんに好かれそうか、スタッフに好かれそうか」です。

これは感覚的な言葉に聞こえるかもしれません。

しかし実際には、患者さんへの安心感、周囲への配慮、学ぶ姿勢、感情の安定性、チームで働く力をまとめた言葉です。

そう考えると、「好かれる力」は単なる愛想の良さではなく、クリニックを長く安定して運営するための重要な力だと考えています。

開業前に、採用の現場を見ておく意味

採用や面接の考え方は、本やブログで学ぶことができます。

しかし、実際にどのような人がクリニックで働いているのか、スタッフ同士がどう関わっているのか、院長がスタッフにどう声をかけているのかは、現場で見ないと分かりにくい部分があります。

朝礼での情報共有。

忙しい外来での声かけ。

新人スタッフへのフィードバック。

患者さんへの対応を見た時の院長の判断。

こうした一つ一つに、クリニックの文化が表れます。

開業前にその現場を見ておくことで、自分が将来どのようなクリニックを作りたいのか、より具体的に考えられるようになります。

まとめ

クリニック採用で「人柄が大事」と言っても、それだけでは抽象的です。

私が採用で大切にしている人柄とは、患者さんに安心感を与え、スタッフからも一緒に働きたいと思われる力です。

具体的には、患者さんへの姿勢、周囲への配慮、感情の安定性、素直に学ぶ姿勢、チームで働く力を見ています。

スキルや経験はもちろん大切です。しかし、少人数のクリニックでは、スキルだけでなく、その人が職場全体に与える影響を見なければなりません。

採用基準を開業前から明確にしておくことは、将来のスタッフを守り、患者さんを守り、院長自身を守ることにもつながります。

文章で読んで終わりではなく、実際の現場で確かめたい先生は、1日見学・体験入職からご相談ください。

採用で見るべき人柄と面接ポイントを、実際の現場で学びませんか?

スタッフ採用や人間関係の考え方は、文章だけでは分かりにくい部分があります。
実際の外来でスタッフがどう動き、院長がどのように声をかけ、どのようにチームをつくっているのか。
その空気感は、現場を見ることで初めて具体的に分かります。

あまが台ファミリークリニックでは、開業を目指す若手医師の先生に向けて、外来診療、クリニック経営、集患、スタッフ採用、組織づくりを学べる開業前研修を行っています。
まずは1日見学・体験入職から、先生ご自身の目で現場をご確認ください。

無理な勧誘はありません。まずは先生ご自身の目で、診療・採用・組織づくりの現場をご確認ください。

 

この記事の監修者
細田 俊樹
  • 医療法人社団緑晴会 あまが台ファミリークリニック 理事長
  • 日本プライマリ・ケア連合学会 家庭医療専門医
  • 日本糖尿病学会正会員、日本睡眠学会所属、日本肥満学会所属

年間15,000人以上の患者さんを診察している総合診療専門医。
総合診療という専門分野を生かし、内科、皮膚科、小児科、生活習慣病まで様々な病気や疾患に対応している。
YouTubeでよくある病気や患者さんの疑問に対して解説している