「良いスタッフを採用できれば、クリニック運営はうまくいく」
そう考えている若手医師の先生は、少なくないと思います。しかし、実際にクリニックを運営していると、採用はゴールではなく、あくまでスタートだと実感します。
どれだけ人柄の良いスタッフを採用できたとしても、院長の考えが伝わっていなければ、少しずつ方向がずれていきます。
スタッフ一人ひとりは、それぞれが実演を目指して、目の前の仕事をしています。ただ、クリニックとして何を大事にしているのか。患者さんにどう接してほしいのか。忙しい時に何を優先してほしいのか。
ここが共有されていないと、クリニック全体の空気が少しずつずれていくことがあります。
この記事では、開業医がスタッフを育てるために大切な、朝礼、理念共有、月1回の勉強会、面談、フィードバック、外部専門家との連携について、実際のクリニック運営の視点からお伝えします。
目次
- 開業医がスタッフを育てるには|朝礼・面談・教育で組織をつくる方法
- 実際のクリニック運営で学んできたことをお伝えします
- 開業前研修の実績
- 動画でも解説しています
- 採用はゴールではなく、組織づくりのスタートです
- 朝礼は、外来前にみんなで地図を広げる時間です
- 朝礼の中で短い勉強会も行います
- スタッフ採用の入口から整理したい先生へ
- 理念やミッションは、忙しい外来で迷わないための北極星です
- 月1回の勉強会で、学びを深める
- スタッフの様子がおかしいと思った時は、早めに面談する
- フィードバックは、人格ではなく行動に対して行う
- フィードバックの伝え方
- 院長一人で抱え込まず、外部の専門家にも協力してもらう
- 開業前に、実際の現場を見ておく意味
- まとめ
- スタッフ採用についてさらに詳しく学びたい先生へ
- 採用後の教育・朝礼・面談を、実際の現場で学びませんか?
- youtube動画でも解説しています。
開業医がスタッフを育てるには|朝礼・面談・教育で組織をつくる方法

皆さん、こんにちは。あまが台ファミリークリニック院長の細田です。
私は家庭医療専門医として、地域医療の最前線で25年、内科・小児科・皮膚科・糖尿病内科などを幅広く診療してきました。(日本糖尿病学会正会員、日本プライマリケア連合学会 家庭医療専門医、日本睡眠学会所属、日本肥満学会所属)
クリニック開業というと、どうしても物件、内装、電子カルテ、集患、資金計画、診療内容に目が行きやすいと思います。
もちろん、それらはとても大事です。ただ、実際に開業してみると、院長が本当に悩むのは、診療そのものだけではありません。
- スタッフとどう関わるか
- スタッフをどう育てるか
- 忙しい外来の中で、どうチームとして同じ方向を向くか
- 院長一人で抱え込まず、どう組織として運営するか
ここが本当に大事になってきます。
実際のクリニック運営で学んできたことをお伝えします
私は2019年9月に、千葉県長生郡長生村であまが台ファミリークリニックを開業しました。
開業からもうすぐ7年になり、現在は年間約2.5万人の患者さんを診察しています。
クリニック運営は、院長一人の力だけで成り立つものではありません。
現在は、非常勤医師5名、看護師4名、管理栄養士5名、医療事務2名、クリーンスタッフ1名、採用秘書担当1名、外部コンサルタントの教育係2名とともに、日々の診療と組織づくりに取り組んでいます。
だからこそ、この記事でお伝えする内容は、理論だけの話ではありません。
実際に採用し、教育し、スタッフと向き合い、悩みながらクリニックを運営してきた中で大切だと感じていることです。

開業前研修の実績
現在、当院で研修を受けた3名の先生が、それぞれご自身のクリニックを開業し、地域医療の現場で活躍されています。

また、現在も2名の医師が当院で研修を行い、外来診療、クリニック経営、集患、スタッフ採用、組織づくりについて、実際の現場を通して学んでいます。

開業前研修では、単に知識をお伝えするだけではありません。将来、自分のクリニックを開業した時に、患者さんに選ばれ、スタッフと信頼関係を築き、地域で長く続けられる医療機関をつくるための考え方と実践を共有しています。
動画でも解説しています
この記事の内容は、医師向けYouTubeでも解説しています。文章で全体像を確認したい先生はこのまま読み進めてください。院長がどのような温度感でスタッフ教育や面談を考えているのかを知りたい先生は、動画もあわせてご覧ください。
採用はゴールではなく、組織づくりのスタートです
良いスタッフを採用できれば、それでうまくいく。
そう考えたくなる気持ちは、私もよく分かります。しかし実際には、採用はゴールではなくスタートです。
どれだけ人柄の良いスタッフを採用できても、院長の考えが伝わっていなければ、少しずつ方向がずれていきます。
スタッフ一人ひとりは、悪気があって動いているわけではありません。
それぞれが良かれと思って、目の前の仕事をしています。

だからこそ、院長は「このクリニックでは何を大切にしているのか」「患者さんにどう接してほしいのか」「忙しい時に何を優先してほしいのか」を、繰り返し伝え続ける必要があります。
朝礼は、外来前にみんなで地図を広げる時間です

当院では、朝礼の時間を約15分とっています。
この15分を、単なる連絡事項の共有だけで終わらせるのではなく、スタッフ全員が同じ方向を向くための大切な時間として使っています。
具体的には、その日の診療体制、予約状況、検査予定、注意が必要な患者さんの情報を共有します。
- 今日は患者さんが多そうなのか
- 発熱外来が混みそうなのか
- 検査が重なっている時間帯はどこか
- 医師、看護師、医療事務、管理栄養士がどのように連携すればよいのか
こういったことを、朝の段階で確認しておきます。私は、朝礼は外来が始まる前に、みんなで地図を広げるような時間だと思っています。
目的地が同じでも、それぞれが別々の道を進んでしまうと、途中で混乱します。
クリニックも同じです。今日はどこが混みそうか。どこに注意が必要か。患者さんにどんな声かけを大切にするか。
これを朝の段階で確認しておくことで、外来が始まってからの動きがそろいやすくなります。
朝礼の中で短い勉強会も行います
当院では、朝礼の中で短い勉強会を行うこともあります。
たとえば、疾患の知識、患者さんへの説明の仕方、接遇、診療の流れ、スタッフ同士の連携、忙しい日の注意点などを短く共有します。毎日長時間の研修を行うのは現実的ではありません。
でも、朝礼の15分の中で、少しずつ学びを積み重ねることはできます。

この積み重ねが、スタッフ全体の共通言語になっていきます。
- あの時、朝礼で話したことだよね
- 患者さんへの説明は、こういう言い方を意識しよう
- 今日は混雑するから、安全確認をいつもより意識しよう
こういう小さな共有が、少しずつクリニックの文化になっていきます。
スタッフ採用の入口から整理したい先生へ
スタッフ教育の前に、そもそも「どんな人を採用すればよいのか」「面接で何を見ればよいのか」と悩む先生も多いと思います。
LINE登録者限定で「スタッフ採用で失敗しないために大切な2つのポイント」という動画をご用意しています。採用の入口から整理したい先生は、あわせてご覧ください。
まだ見学までは早いと感じる先生は、まず記事と動画で採用の考え方を整理してみてください。
理念やミッションは、忙しい外来で迷わないための北極星です
当院では、理念やミッションを、1日1つ取り上げて、みんなで声に出して確認することもあります。
これは、きれいごとを言うためではありません。
忙しい外来の中で、クリニックが向かう方向からずれないようにするためです。
私は、理念やミッションは、忙しい外来の中で迷わないための北極星のようなものだと思っています。
目の前の業務に追われると、どうしても「早く終わらせること」だけに意識が向きやすくなります。
- 受付をする
- 電話に出る
- 会計をする
- 患者さんを案内する
- 採血をする
- 診察を回す
- 検査を確認する
どれも大事です。
ただ、業務だけに集中しすぎると、「なぜこの仕事をしているのか」が見えにくくなることがあります。
私たちは、ただ患者さんを流れ作業で診ているわけではありません。
患者さんに安心してもらう。不安を少しでも減らす。地域の方に信頼してもらう。スタッフ同士も支え合いながら働く。
その方向を見失わないために、朝礼の中で理念やミッションを確認する時間を作っています。

月1回の勉強会で、学びを深める
当院では週39.5時間の勤務としており、残りの時間を活用して、月1回、土曜日午後に2時間の勉強会を行っています。
この時間は、日々の朝礼では扱いきれないテーマを、少し深く学ぶための時間です。たとえば、外部講師を招いてワークショップを行うことがあります。
接遇の勉強会をすることもあります。場合によっては、スタッフ自身が学んだことを発表してもらうこともあります。ここで大切にしているのは、院長が一方的に教えるだけではなく、スタッフ自身も学び、考え、言葉にする機会を持つことです。
人は、ただ聞いているだけでは、なかなか自分の行動に落とし込めません。でも、自分で学んだことを発表したり、他のスタッフの考えを聞いたりすると、「自分ならどうするか」「明日から何を変えるか」を考えやすくなります。
朝礼は、毎日の方向合わせ。月1回の勉強会は、少し深く学ぶ時間。
この2つを組み合わせることで、日々の業務とスタッフ教育をつなげるようにしています。

スタッフの様子がおかしいと思った時は、早めに面談する
スタッフの様子がいつもと違う。
- 表情が暗い
- 返事が弱い
- 会話が減っている
- ミスが増えている
- 患者さんへの対応が少し硬い
- 周囲と距離が出ている
こういう時に、見て見ぬふりをしないことが大切です。
もちろん、すぐに深刻な問題とは限りません。体調が悪いだけかもしれない。家庭の事情かもしれない。忙しさで少し疲れているだけかもしれない。
ただ、何か違和感がある時は、早めに声をかけた方がいいと思っています。ここで大事なのは、いきなり注意や指導から入らないことです。
- 最近どう?
- 何か困っていることある?
- 仕事の中で負担になっていることはない?
まずは、状態を確認する。これが大事です。面談は、叱る場ではありません。目的は、相手を責めることではなく、ずれを早めに修正することです。院長が見えている景色と、スタッフが見えている景色は違います。
だからこそ、面談では、まず相手の見えている景色を聞く。そのうえで、クリニックとして大切にしたいことを伝える。最後に、次にどう行動するかを一緒に確認する。
この順番が大切だと思っています。

フィードバックは、人格ではなく行動に対して行う
スタッフに何かを伝える時、特に気をつけたいのが、人格ではなく行動に対して伝えることです。
たとえば、「あなたは気が利かない」「あなたは協調性がない」「あなたは冷たい」という言い方をすると、相手はかなり傷つきます。
そして、防御的になります。
こちらが伝えたいことが伝わらなくなることもあります。
大切なのは、具体的な行動に落とし込むことです。
フィードバックの伝え方
- 「患者さんへの返答が少し短く聞こえたかもしれない」
- 「会計が混んでいる時は、受付の様子も見てもらえると助かる」
- 「最近少し表情が疲れて見えるけど、何か負担になっていることはある?」
- 「次回から同じ場面では、まずここを確認してほしい」

指摘は必要です。
何も言わずに放置するのは、優しさではありません。ただ、伝え方によって、相手が成長することもあれば、心を閉ざすこともあります。
院長として大事なのは、感情をぶつけることではなく、次の行動につながる伝え方をすることだと思っています。
院長一人で抱え込まず、外部の専門家にも協力してもらう
ここまで読むと、先生の中にはこう感じる方もいるかもしれません。
「そこまで院長がやる必要がありますか?」
その気持ちは、すごく分かります。
開業したら、診療だけでも忙しいです。
経営、集患、採用、スタッフ教育、患者さん対応もあります。
全部を院長が抱え込んだら、当然しんどくなります。
ですので、院長をサポートするスタッフや仕組みも必要です。
もし院内に、採用や教育、診療報酬、接遇、面談などを一緒に支えてくれる人がいなければ、外部の専門家に協力してもらうことも大事だと思います。
私自身も、すべてを一人で抱え込んでいるわけではありません。
診療報酬に詳しい外部コンサルタントの方に協力してもらっていますし、接遇やスタッフ面談の経験が豊富な外部の方にも関わってもらっています。
これは、院長が楽をするためだけではありません。クリニックをより良くするために、外からの視点を入れることが大切だと感じているからです。院長だけで見ていると、どうしても視野が狭くなることがあります。
スタッフの状況や院内の空気を、院長とは違う立場から見てもらうことで、気づけることがあります。
また、定期的な面談は、スタッフが今どんなことを感じているのか、何に困っているのかを知る大切な機会になります。
同時に、当院がこれからどこへ向かっていくのか、何を大切にしているのかを、簡潔に伝える場にもなります。
開業前に、実際の現場を見ておく意味
こうしたことは、本やブログである程度は学べます。
しかし、実際の空気感は現場で見ないと分かりにくい部分があります。
- 朝礼でどんな言葉を使っているのか
- スタッフがどう反応しているのか
- 忙しい外来の日に、どう声をかけ合っているのか
- 月1回の勉強会で、どのような学びをしているのか
- 様子がおかしいスタッフに、どのタイミングで声をかけているのか
- 外部の専門家と、どのように協力して組織を整えているのか
こういうことは、現場で見るとかなり具体的にイメージできます。当院では、開業を目指す若手医師の先生に向けて、開業前研修を行っています。

外来診療だけではなく、クリニック経営、集患、スタッフ採用、組織づくり、朝礼、情報共有、スタッフ教育についても、実際の現場を通して学んでいただけます。
まとめ
スタッフ採用は大事ですが、採用はゴールではありません。
大事なのは、採用した後にどう育てるかです。
- 日々の朝礼で、どう方向をそろえるか
- 理念やミッションを、どう言葉にして伝え続けるか
- 月1回の勉強会で、どう学びを深めるか
- スタッフの様子がおかしい時に、どう早めに面談するか
- フィードバックを、人格ではなく行動に対してどう伝えるか
- 院長一人で抱え込まず、必要に応じて院内スタッフや外部の専門家と協力すること
ここが、クリニックの組織づくりではとても大切です。これから開業を考えている先生は、ぜひ診療だけでなく、スタッフ教育や組織づくりにも目を向けてみてください。

スタッフ採用についてさらに詳しく学びたい先生へ
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採用後の教育・朝礼・面談を、実際の現場で学びませんか?
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朝礼で何を話すのか、スタッフにどう理念を伝えるのか、面談でどのように声をかけるのか。
文章だけでは伝わりにくい現場の空気を、まずは1日見学・体験入職でご確認ください。
無理な勧誘はありません。まずは先生ご自身の目で、診療・採用・組織づくりの現場をご確認ください。