クリニック経営

若手医師が開業を後悔する理由とは?「こんなはずじゃなかった」を防ぐ準備リスト

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こんな不安や悩みを持っていませんか?

  • 開業したいけど、本当に自分にできるか自信が持てない…
  • 「開業して後悔した」という先輩の話を聞いて、踏み出せずにいる…
  • 勤務医のままでいた方が安定しているんじゃないか、と迷っている…
  • 何をどの順番で準備すればいいのか、全体像が見えない…
  • 開業してから「こんなはずじゃなかった」と思いたくない…
  • 30代のうちに開業すべきか、もう少し経験を積んでからか迷っている…

こういった不安を抱えている先生に、今回のブログは必ず役立ちます。ぜひ最後まで読んでください。

皆さん、こんにちは。

あまが台ファミリークリニック 院長の細田俊樹です。

私はプライマリ・ケア(総合診療)を専門に、医師として25年目になります。家庭医療専門医として2019年9月に千葉県長生郡に当院を開業し、現在は総勢14名のスタッフとともに、年間28,000人以上の患者さんを診察しています。

開業後、私のクリニックには常時5〜7名の「開業前研修」を希望する若手医師の先生が来てくれています。


その先生方と話す中でよく耳にするのが、「先輩が開業して後悔したと言っていた」という言葉です。
今回は、なぜ後悔が生まれるのか、そしてそれをどう防ぐかをお伝えします。

実際に開業して後悔した先生方には、ある共通したパターンがあります。

「診療はやりがいがある。でも、こんなにしんどいとは思っていなかった」

これは能力の問題ではありません。「準備の質」と「現実のギャップ」の問題です。事前に知っておけば防げることがほとんどです。今回はその具体的な内容と、後悔しないための準備リストをお伝えします。

若手医師が開業後に後悔する理由 5つ

後悔の理由 1

「こんなに患者さんが来ないとは思っていなかった」

開業前に「自分の腕があれば患者さんは来てくれる」と信じていた先生が、開業3ヶ月後に月100人を切る現実に直面するケースがあります。 

地域に根ざしたクリニックは、「存在を知ってもらう」ための戦略なしに、患者さんは自然には来てくれません。ホームページ、Googleマップへの登録、地域の掲示板への折り込み、近隣への挨拶回り——これらは開業「前」から計画しておくべきことです。(※1)

「でも、広告費をかける余裕がない時期に集患なんてできるの?」という先生へ

費用をかけなくてもできることはたくさんあります。Googleビジネスプロフィールの登録・口コミ対応、地域の保育園や学校への挨拶、近隣の薬局との連携など。大切なのはお金より「行動量」と「スタート時期」です。開業の半年前から動き始めることが理想です。

後悔の理由 2

「スタッフのトラブルでこんなに消耗するとは思っていなかった」

開業後に院長が最も時間とエネルギーを奪われるのが、スタッフ問題です。

「採用した看護師が半年で辞めた」「スタッフ同士の人間関係がこじれて診療に影響が出た」「患者さんへの対応が悪いスタッフをどう指導すべきかわからない」

勤務医時代は「スタッフを管理する」という経験がほとんどありません。開業すると突然、採用・教育・評価・労務管理まで全て院長の仕事になります。

スタッフが1人辞めると、採用コストだけで数十万円。加えて教育期間中の生産性低下、既存スタッフへの負担増——この連鎖が経営を圧迫します。(※2)

「スタッフ管理なんて、やってみないとわからないんじゃ?」という先生へ

確かに完全に準備することは難しい。でも「クリニックの理念と採用基準を言語化する」「面接で何を確認すべきかを事前に決めておく」「試用期間の評価シートを用意する」——これだけでも採用の失敗率は大きく下がります。現場で実際に見て学ぶことが一番の近道です。

後悔の理由 3

「借入金の重さが想像以上だった」

クリニックの開業には、テナント物件でも平均3,000〜5,000万円、建物を建てる場合は1億円以上の資金が必要になることがあります。

問題は金額の大きさだけではありません。「毎月の返済額が固定費として重くのしかかってくる」という精神的プレッシャーを、開業前に実感できていない先生が多いのです。

「患者数が少ない月も、返済だけは待ってくれない」「スタッフの給与を払った後、手元にほとんど残らない月があった」

開業後の資金繰りは、黒字でも現金が足りなくなる「黒字倒産」のリスクがあります。損益計算書だけでなく、キャッシュフロー計算書を月次で把握する習慣が命綱になります。

「財務が苦手で、税理士に任せてしまいそう…」という先生へ

税理士への丸投げは危険です。専門家に計算は任せていいですが、「今月の手元キャッシュ」「返済後の残高」「損益分岐点の患者数」この3つだけは毎月自分の目で確認する習慣をつけてください。開業前に財務の基礎を学ぶ機会を作ることを強くすすめます。

後悔の理由 4

「専門外の患者さんへの対応に自信がなく、かかりつけ医になれなかった」

内科・外科・小児科など、特定の専門科で経験を積んできた先生が、地域のクリニックで直面するのが「専門外の症状への対応」です。

患者さんは「皮膚がかゆい」「子どもが熱を出した」「膝が痛い」など、あらゆる悩みを持って来院します。その都度「専門外なので他院へ」という対応を繰り返していると、地域のかかりつけ医として選ばれなくなり、集患に直結する深刻な問題になります。

「専門外の知識は、開業前にどうやって身につければいい?」という先生へ

総合診療の現場での実地研修が最も効率的です。教科書で学ぶことと、実際の外来で「この症状はここまで対応して、ここから紹介する」という判断感覚を身につけることは全く別物です。当院の開業前研修では、まさにこの「総合診療力」を実践の中で磨いていただいています。

後悔の理由 5

「誰にも相談できず、孤独で限界になってしまった」

開業して最初に驚くことのひとつが、「相談できる相手がいない」という現実です。

勤務医時代は上司・同僚・コメディカルスタッフと日常的に会話できました。しかし院長になった瞬間、スタッフには弱みを見せられない、同業者には経営の悩みを話しにくい、家族には心配をかけたくない——という三重の孤独に陥ることがあります。

「夜中に一人でパソコンに向かい、収支表を見ながら眠れない夜が続いた」

開業後に精神的に追い詰められてしまう院長の先生は、決して少なくありません。そしてこの問題は、開業「前」に信頼できる人間関係を作っておくことで、大きく防ぐことができます。

「開業してから仲間を作ればいい」と思っている先生へ

開業後は時間的・精神的な余裕が驚くほどなくなります。新しいコミュニティに入る余裕が生まれるのは、経営が軌道に乗ってから——それでは遅すぎることが多いのです。
開業前に動いておくことが大切です。

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「こんなはずじゃなかった」を防ぐ開業前準備リスト

後悔の理由が見えてきたところで、では具体的に「何をいつ準備すればいいか」をお伝えします。開業の1年前〜半年前を目安にした準備リストです。

準備 1|開業1年前〜

総合診療力を実際の外来で磨く

  • 開業前研修・見学に参加して実際の外来を体感する
  • 皮膚科・小児科・整形外科のプライマリーケアの基礎を学ぶ
  • 「どこまで診て、どこから紹介するか」の判断軸を身につける
  • 在宅医療・訪問診療の基礎を知っておく(地域連携のため)

準備 2|開業1年前〜

クリニックの「理念・ビジョン」を言語化する

  • 「なぜ開業するのか」「どんな地域医療を実現したいか」を言葉にする
  • ターゲットとする患者層・対応する疾患を明確にする
  • 理念をスタッフ採用・ホームページ・院内掲示に活用できる形にまとめる
  • 勤務医時代の「やりたかったこと」と「開業後にできること」を整理する

準備 3|開業1年前〜

財務・経営数字の基礎を身につける

  • 損益分岐点の計算方法を理解する(月何人来れば黒字か)
  • 人件費率・固定費・変動費の概念を把握する
  • キャッシュフロー計算書の読み方を学ぶ
  • 開業後3年間の収支シミュレーションを税理士と作成する
  • 日本政策金融公庫・銀行融資の仕組みを理解する

準備 4|開業半年前〜

採用・スタッフマネジメントの準備をする

  • 採用基準(求める人物像)を言語化する
  • 面接で必ず確認すべき質問リストを作成する
  • 試用期間・評価基準を事前に決めておく
  • 給与体系・昇給ルールを開業前に設計する
  • 採用チャネル(ハローワーク・求人サイト・SNS)を複数確保する

準備 5|開業半年前〜

集患・地域連携の準備を始める

  • Googleビジネスプロフィールを開業前から登録・最適化する
  • ホームページを開業の3ヶ月前には公開する(SEO対策のため)
  • 近隣の薬局・介護事業所・学校・保育園に挨拶回りをする
  • 地域の医師会・病院への紹介状・連携ルートを構築しておく
  • 内覧会・開業記念イベントの企画をする

準備 6|開業前いつでも

メンター・仲間のネットワークを作る

  • 信頼できる先輩開業医を1〜2名、メンターとして関係を深める
  • 同世代で開業を目指す医師のコミュニティに参加する
  • 開業前研修・見学を通じて同志を作る
  • 経営・採用・財務の専門家(税理士・社労士・コンサル)との関係を構築する

まとめ:後悔は「準備の質」で防げる

若手医師が開業後に後悔する5つの理由と、それを防ぐための準備リストをお伝えしました。まとめると以下の通りです。

# 後悔の理由 防ぐための準備
1 患者さんが来なかった 開業半年前からWeb・地域連携を動かす
2 スタッフ問題で消耗した 採用基準・評価制度を開業前に設計する
3 借入金の重さに耐えられなかった 財務の基礎を学びCFを毎月把握する
4 専門外に対応できなかった 総合診療力を実地研修で磨く
5 孤独で精神的に限界になった 開業前にメンター・仲間のネットワークを作る

後悔している先生の多くは、能力がなかったわけではありません。「知らなかった」「準備が足りなかった」ただそれだけです。

裏を返せば、この準備リストを開業前に実践できた先生は、開業後のスタートが圧倒的に違います。ぜひ「知っているだけ」で終わらせず、一つひとつ行動に移してみてください。

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最後までご覧いただきありがとうございました。引き続き、若手医師の先生のお役に立てる情報を発信していきます。

あまが台ファミリークリニック 院長 細田俊樹

参考文献

  1. ※1 厚生労働省「医療施設動態調査」2023年
  2. ※2 日本医業経営コンサルタント協会「クリニック経営実態調査」2022年
この記事の監修者
細田 俊樹
  • 医療法人社団緑晴会 あまが台ファミリークリニック 理事長
  • 日本プライマリ・ケア連合学会 家庭医療専門医
  • 日本糖尿病学会正会員、日本睡眠学会所属、日本肥満学会所属

年間15,000人以上の患者さんを診察している総合診療専門医。
総合診療という専門分野を生かし、内科、皮膚科、小児科、生活習慣病まで様々な病気や疾患に対応している。
YouTubeでよくある病気や患者さんの疑問に対して解説している