クリニック経営

クリニック経営で失敗する医師の共通点5つ|開業前に知っておくべき現実

クリニック経営

こんな不安や悩みを持っていませんか?

  • 開業したいけれど、経営のことが全くわからなくて不安…
  • 「開業して失敗した」という話をよく聞くが、自分は大丈夫だろうか…
  • 診療の腕には自信があるけど、それだけで経営は成り立つのか?
  • スタッフの採用や管理なんてやったことがないし、どうすればいいのか…
  • 資金繰りや収支の計算が苦手で、開業後に経営が傾くのが怖い…
  • 集患って具体的に何をすればいいのか、誰にも教わったことがない…

こういった不安や悩みを持っている若手の先生には、今回のブログが必ず役立つと思います。ぜひ最後まで読んでください。

皆さん、こんにちは。

あまが台ファミリークリニック 院長の細田俊樹です。

私はプライマリ・ケア(総合診療)を専門に、医師として25年目になります。家庭医療専門医として、2019年9月に千葉県長生郡に当院を開業し、現在は総勢14名のスタッフとともに、年間28,000人以上の患者さんを診察しています。

開業してからこれまで、常時5〜7名ほどの「開業前研修」を希望する若手医師の先生を受け入れてきました。今回はその現場から見えてきた、開業に失敗する医師に共通するパターンをお伝えします。

開業を考える多くの先生から、こんな言葉をよく聞きます。

「開業に失敗したくない。でも、何が失敗につながるのかわからない」

診療の腕はある。勉強もしてきた。でも経営となると、誰も教えてくれなかった——そういう先生がほとんどです。
耳が痛い内容もあるかもしれませんが、開業前に知っておくことで必ず対策が打てます。

クリニック経営で失敗する医師の共通点5つ

共通点 1

「診療さえよければ患者さんは来る」と思っている

開業を考える先生の多くが、最初にこう考えます。

「自分は腕がある。だから患者さんは来てくれるはず」

気持ちはよくわかります。私自身、開業前にそう思っていた部分がありました。

しかし現実は少し違います。地域の患者さんは、必ずしも「一番腕がいい先生」のところに行くわけではありません。「近くて、通いやすくて、安心できる先生」のところに行くのです。

クリニックは病院と違い、患者さんが「自分で選んで来る」場所です。選んでもらうためには、診療の質に加えて、ホームページ、Google口コミ、地域との関係づくりといった”見えない部分”が大きく影響します。

よくある反論:「集患に力を入れるのは、なんか医師らしくない気がして…」

この気持ち、よくわかります。「患者さんを集める」という言葉には、どこか商業的なイメージがあるかもしれません。

ただ、考え方を少し変えてみてください。患者さんに来てもらわなければ、地域医療に貢献することすら始まりません。あなたのクリニックの存在を地域に伝えることは、医師としての責務でもあるのです。開業前から集患の戦略を考えることは、決して不純なことではありません。
診療さえよければ患者さんは来ると思っている先生

共通点 2

経営数字を「税理士任せ」にしている

勤務医として働いているあいだ、財務や経営数字に触れる機会はほとんどありません。しかし開業すると、院長は「医師」であると同時に「経営者」になります。

失敗する先生に多いのが、損益計算書や資金繰り表を税理士に丸ごとお任せして、自分ではほとんど見ないというパターンです。

「毎月の数字が赤字なのに、気づいたのは半年後だった」
「手元の現金はあるのに、なぜか経営が苦しい気がする」

このようなことが実際に起きます。経営者として最低限おさえておきたい数字は以下の3つです。

  • 損益分岐点(月何人の患者さんが来れば黒字になるか)
  • 人件費率(売上に占めるスタッフ給与の割合。目安は50%以内)
  • 月次キャッシュフロー(現金がいつ、どれだけ動いているか)

「数字が苦手で、正直よくわからない…」という先生へ

大丈夫です。難しく考える必要はありません。ただ、自分の目でこれらを毎月確認する習慣を開業前から意識しておくことが大切です。細かい計算は専門家に任せていいですが、「今月は黒字か赤字か」「スタッフの人件費は適正か」だけは院長自身が把握する。それだけでも大きく変わります。

手元の現金はあるのに、なぜか経営が苦しい気がする先生

共通点 3

スタッフ採用を「とりあえず誰でもいい」で済ませている

クリニック経営において、スタッフ問題は院長が最も頭を悩ませることのひとつです。私が開業前研修に来る先生方に必ず伝えることがあります。

「スタッフ採用を甘く見ると、後で必ず痛い目を見ます」

開業時に焦って採用した結果、患者さんへの対応が悪いスタッフ、すぐに辞めてしまうスタッフを抱え、経営が安定する前に離職問題で消耗してしまう——このパターンは本当に多いです。

スタッフが定着しないクリニックは、採用・教育コストがかさみ続けます。それだけでなく、患者さんの印象を大きく下げ、リピートにつながらないという悪循環が起きます。

「人手不足だし、とにかく早く採用しないといけない状況なんですが…」

その焦りはよくわかります。でも、焦って採用した1人のスタッフが、後に数人分の問題を生むことがあります。大切なのは「誰でもいいから早く」ではなく、クリニックの理念や方向性に共感してくれる人を、時間をかけて採用すること。採用は経営の根幹です。開業前から採用基準と面接の方法をしっかり考えておきましょう。

スタッフと院長が悩んでいるようす

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共通点 4

「専門外は診ない」という姿勢のまま地域に出る

これは特に、専門科でキャリアを積んできた先生に多いパターンです。

「自分は内科専門だから、皮膚科や小児科はできません」

専門医としての矜持はとても大切です。しかし、地域のクリニックに求められているのは、かかりつけ医としての総合的な対応力です。

患者さんは「内科の症状だけ持ってくる」わけではありません。子どもの発疹、肌荒れ、認知症の相談、生活習慣の悩み——様々な問題を抱えて来院されます。そこで「それは専門外なので診られません」という対応が続くと、患者さんはかかりつけ医として選んでくれなくなります。

実際、地域で長く愛されているクリニックの多くは、内科専門医でありながら皮膚科・小児科のプライマリーケアにも丁寧に対応しています。専門性に加えて「総合診療力」を持つことが、地域で生き残るカギです。(※1)

「でも、専門外で対応して何かあったら怖い…」という先生へ

この不安はとても正直な感覚で、むしろ大切なことです。「なんでもできます」ではなく、「この症状はここまで対応できる、ここからは専門医に紹介する」という明確な判断軸を持つことが総合診療の本質です。その判断軸を開業前に身につけておくことが重要で、それが当院の研修で一番お伝えしたいことでもあります。
「専門外は診ない」という姿勢のまま地域に出るイメージ

共通点 5

開業後の「孤独」への備えができていない

これは、あまり語られることのない落とし穴です。

勤務医のあいだは、上司・同僚・指導医など、相談できる相手が身近にいます。しかし開業すると、院長はたった一人で全ての意思決定をしなければなりません。

「あの処置の判断、本当に良かったのだろうか」
「スタッフが突然辞めると言い出した。どう対処すれば…」
「患者数が伸びない。何が原因なのか、誰に聞けばいいのか」

こうした「経営の孤独」に耐えられず、精神的に追い詰められてしまう院長の先生を何人も見てきました。開業後3年以内に閉院するクリニックの多くは、経営スキルの問題だけでなく、この「孤立」が大きな要因になっています。(※2)
開業後の「孤独」への備えができていない先生のイメージ

「でも、開業したら先輩に相談しにくくなりそうで…」という先生へ

その通りで、開業後は意外と人間関係が変わります。だからこそ、開業「前」に信頼できるメンターや仲間を作っておくことが重要です。
情報収集だけでなく、「人とのつながり」を意識的に作ることが、長く経営を続けるための精神的な支えになり、実は経営の安定にも直結しています。

まとめ:失敗の共通点を知ることが、成功への第一歩

今回ご紹介した「クリニック経営で失敗する医師の共通点5つ」をまとめると、以下のようになります。

# 共通点 対策のポイント
1 診療だけで集患できると思っている 「知られること」も経営戦略のひとつ
2 経営数字を税理士任せにしている 損益分岐点・人件費率・CFは自分で把握する
3 スタッフ採用を甘く見ている 理念に共感できる人を時間をかけて採用する
4 専門外を診ない姿勢のまま開業する 地域では総合診療力が生き残りのカギ
5 開業後の孤独への備えがない 開業前にメンターとコミュニティを作る

これらはいずれも、開業前に知っておけば対策できることばかりです。
裏を返せば、この5つを意識して準備できている先生は、開業後のスタートダッシュが圧倒的に違います。

当院で開業前研修に来て、実際に開業した先生たちに共通しているのは「現場でリアルを体感してから開業した」という経験です。知識は本やブログで得られますが、経営の感覚は現場でしか磨けません。

「このブログを読んで、次に何をすればいいかわからない」という先生へ

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診療スキルだけでなく、集患・採用・スタッフマネジメントまで、現場で一緒に学べる環境があります。週1回からの勤務もOKです。

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最後までご覧いただきありがとうございました。引き続き、若手医師の先生のお役に立てる情報を発信していきます。

あまが台ファミリークリニック 院長 細田俊樹

参考文献

  1. ※1 厚生労働省「かかりつけ医機能が発揮される制度整備について」2023年
  2. ※2 帝国データバンク「医療機関の経営実態調査」2023年
この記事の監修者
細田 俊樹
  • 医療法人社団緑晴会 あまが台ファミリークリニック 理事長
  • 日本プライマリ・ケア連合学会 家庭医療専門医
  • 日本糖尿病学会正会員、日本睡眠学会所属、日本肥満学会所属

年間15,000人以上の患者さんを診察している総合診療専門医。
総合診療という専門分野を生かし、内科、皮膚科、小児科、生活習慣病まで様々な病気や疾患に対応している。
YouTubeでよくある病気や患者さんの疑問に対して解説している